内容説明
「君の愛は迷惑なんだ」――心から愛してきた夫にすべてを否定された伯爵夫人ローザ。それまで夫の身勝手をフォローするため無茶な働き方をし続けていた彼女は、心身ともにボロボロだった。そんな妻に「見苦しい」と言い放った夫デイヴィスの望みは、ローザが伯爵夫人として美しく着飾り、社交に精を出し、夫に依存せずほどよい距離を保つこと。それなら彼の言う通りにしてやろうと決めたローザは、夫好みの可愛らしい服装をやめ、自分が好きな鮮やかな色のドレスに身を包む。見違えたように美しくなった彼女は社交界でも評判になり、夫デイヴィスも手のひらを返そうとするが、時すでに遅く――!? ※電子版は単行本をもとに編集しています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
有機物ちゃん
5
ざまぁモノ。ある日夜会で夫が友人に「妻がうっとおしい」と愚痴ってるのを聞いてしまった妻の話。その後は夫が今まで妻にぶつけてきた理不尽な不満を全て受け入れ、あなたが言ったことでしょう?とまるっと当て擦って返していく妻。妻本人は当て擦ってるつもりはないようだが、今まで従順だった妻が会話にならない勢いでそれを押し通すから最初は静かにゆっくり気が狂っていく描写なのかと思ってた。いやもしかしたら、前半の奥さん本当にちょっとおかしくなってたのかもしれないな……それくらい追い詰められてたって事なのかも。2024/06/27
nyannkoraita
0
夫婦関係の難しさや脆さ、すれ違う二人の距離なんかが丁寧に描かれていて、全く先の読めない展開に最後までページを捲る手が止まらなかった。 一度気持ちが冷めてしまえば、もう愛を信じて疑わなかった頃には戻れなくて。どんなに恋い焦がれても二人の距離は縮まらなくて。 闇落ちするシーンなんかもリアルで最高だった。 最後のシーン、思わず泣けてきちゃって参った。ほんっと面白かった! それぞれが新しく踏み出す未来に幸多かれと祈らずにはいられない。 最後の最後まで大満足の一冊!読後も色々考えさせられて、余韻に浸ってしまったわ。