内容説明
新しいライフスタイルの誕生
日本初のインターアーバン(都市間高速鉄道)として知られる阪神電気鉄道は、1時間は待たねばならない官営鉄道に対し、住宅地にこまめに駅を設置し、運賃を安くすることで、鉄道利用という新たな需要を喚起していく。「たまにはおめかしして大阪や神戸へお買い物」というライフスタイルがこのころ生まれた。
阪急電鉄は、専務・小林一三のもと、温泉や少女歌劇、遊園地などとともに、沿線の住宅地開発に力を入れる。また、ターミナルデパートの建設などの取り組みで、阪神との熾烈な乗客獲得合戦を繰り広げていく。
大大阪市誕生で東京市を抜き、日本一の大都市となったこの地は、沿線人口急増に苦しんでいた。そのようななか京阪電気鉄道は大阪・天満橋と京都・五条をノンストップで結ぶ、日本最初の急行運転をおこなう。一両編成運転が当たり前の時代に二両連結の申請をし、複々線化を実行に移すなど、将来を見据えた大胆な先行投資で当局を驚かせた。
関東の私鉄をはじめ、日本全国の鉄道に多大な影響を及ぼしたこの3社の歩みを、鉄道や軌道に関する公文書と各時代の地形図を合わせて眺めることで、近代日本の姿がはっきりと浮かび上がる。掲載地図はすべてフルカラー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
六点
6
京阪、阪神、阪急の創業期を中心にした本である。いずれの路線も土地勘があるので楽しく読めた。しかしこの三者、阪急の言わば離婚結婚相手であるのが面白い。在阪私鉄は以前の、この本に描かれた時代の輝きを失ってしまったように感じる。2018/05/17
Ryuji Saito
2
2019年31冊目。2019/04/21
Mitsuhito Shiraha
1
戦前までの阪神、阪急、京阪電鉄各社の軌跡を豊富な資料で辿る。一枚一枚の古地図をじっくり見入ってしまう。阪急の神戸側終点が上筒井で、昭和11年に三宮に乗り入れるまで神戸市が反対してた紆余曲折なんて、神戸市議会のモンロー主義の伝統は今日まで受け継がれているのだな。王子公園駅のあの分岐の意味もこれで分かった。2019/08/18
おおい
1
ためになる、鉄道フアンには。2019/08/11
やまほら
1
関東3巻に続く4巻目。話題は各路線の開業・延長に関するもので、関東に比べると広がりが少ない。それでも十分に面白いけど。2017/05/08