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内容説明
34年の短い生涯で約2万5千もの俳句を残した子規。中には遊里や遊女を詠んだ句も意外に多く、そのような句においても透徹した観察眼が味わえる。ユーモアあり、反骨精神あり、ダンディズムあり。見つめるものをあるがままに切り取り十七音で詠む表現者。そんな子規俳句を縦横無尽に読む、松山・東京・道後にわたる全三夜の子規トーク!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
緋莢
13
図書館本。34年の生涯で2万5千もの俳句を残した正岡子規。その中で、傾城や遊女を詠んだ俳句も意外に多く、その俳句について、2人が松山、東京、道後で語ったものをまとめた本。タイトルに入っている〝よもだ”は、<「へそ曲がり」というか、「わざと滑稽な言動をする」というか、 そんなニュアンスだ。>で、夏井いつきによると、奥田瑛二は<この男、筋金入りの「よもだ」であることが分かった>とのこと(続く2024/07/10
nonpono
12
俳優の奥田瑛二が好きで妹が代わりに行ってくれてもらってくれた貴重なサイン本。近年、正岡子規といえば大河ドラマの香川照之の熱い演技と「ゴールデンカムイ 」での新聞記者姿が目に浮かぶ。対談相手の夏井いつきが驚いたように、遊郭、特に吉原をテーマにした句が多く艶っぽい。「ゴールデンカムイ 」でも遊郭に行っていたような。点と点がつながってくると、またより知りたくなる。「ふきもせぬ 風に落ちけり 蝉のから」や「炎天や 御歯黒どぶの 泡の数」、わたしも吉原神社を参拝しに歩いたあの夏の日、幻のような廓の残像を思い出した。2024/04/03
kyoko
10
図書館で出合った本。歌人二人が艶俳句を中心に正岡子規を読み解く。二人の会話でそれぞれの句の映像が頭の中にぷわーっと広がっていった。最後にタイトルの「よもだ」の意味がわかって趣深かった。個人的には「片側は海はつとして寒さ哉」「色里や十歩はなれて秋の風」「生きてをらんならんといふもあつい事」が突き刺さった。2023/10/19
チェアー
7
子規の女性論。というか、廓、いや、遊郭の女性を描いた句を選び出し、艶俳句と名付けて、そこから広がる妄想を語り合う2人。奥田瑛二は、特に句から句へ連なる情景をカメラワークとして、映画の断片に組み立てていく。その妄想ぶりは素敵だ。 改めて、子規の俳句の言葉の落差の大きさを思う。 2023/11/22
オールド・ボリシェビク
5
奥田瑛二、結社には所属していないが、長い句歴を持っているそうだ。夏井いつきとの対談の中で、正岡子規の意外な側面に光を当てていく。それは遊郭や遊女を詠った、奥田いうところの「艶俳句」の世界である。33歳で早世した子規だが、意外なほどに艶っぽい俳句を詠んでいたことに驚かされた。それらの句に通底している冷徹な「写生」にも注目すべきだろう。2023/09/26