内容説明
京の呉服屋の三男坊ながら、戯作者を夢みる喜三郎(きさぶろう)に、婿入りの話が持ち込まれた。しかしその相手には、許嫁が短命に終わるという「婿殺し」の異名があり、戸惑う喜三郎は、知人の寺に相談に行く。するとそこには見知らぬ琵琶法師がいて、「救うべきは、その娘だ」と告げられる――。芝居小屋の怪、拐(かどわか)される幼子、人の心を狂わす妖刀……。京で大人気の芝居誕生に秘められた、悲しい真実を巡る感動の時代ミステリー。文庫書き下ろし。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
真理そら
48
三好作品は読み始めたとたんに三好ワールドに引き込まれるというタイプではないが、読み終えた時には三好ワールドにどっぷり浸ってしまう。今回は芝居小屋を再開して戯作を書きたい喜三郎の物語。琵琶とほゞ一体になってしまった美しく不思議な男・無情や平家滅亡の物語が平家物語好きの私の胸に沁みた。 2023/09/23
onasu
15
京の呉服屋の三男坊・喜三郎は、芝居好きが高じて戯作者を夢みていたが、馴染みの芝居小屋・鴻鵠楼は主が亡くなって以来閉鎖、これを買い取りたいとはしていたが言い出せずにいたところ…。 酒屋への婿入りの話しに困惑した喜三郎は、読み書きに通っていた寺の和尚・清韻(ショウイン)を訪ねると、不思議な佇まいも美形の琵琶法師・無情がおり、二人から婿入りを承諾するよう諭され…。 三好さんらしい不思議さを湛えたストーリーはおもしろく、早々に読み終えたが、喜三郎が戯作を仕上げていく降りがほぼないのは流石にピースが足りないか。2023/10/08
あずとも
6
京で大人気の芝居は会いたい人をこの世に呼び戻せるかもしれないという強い想いを込めて作られた作品。秘められた悲しい真実を巡る物語。良かった。2023/09/17
てん
2
独特の雰囲気を堪能。2023/10/18