内容説明
「ようこそ、婚約者殿」そう言って恵茉を迎えたのは、狐面で顔を隠した青年だった――。
祖父を亡くした恵茉は、言いつけに従い訪れた代官山の屋敷で、律と出会う。彼は婚約者であると同時に、祖父が菓子を納めていた店の主でもあるというのだが。
(菓子店ではなく、画廊を経営?)
律の画廊には、怪奇現象を起こす絵の相談が寄せられる。それを解決する菓子作りの力が、祖父から恵茉へ継がれているようで……。
心の傷と、秘密を抱え、絵に込められた思い出を解きほぐす、二人の恋愛ファンタジー。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
よっち
36
祖父を亡くした恵茉は、言いつけに従い訪れた代官山の屋敷で出会った秋芳律。心を閉ざした少女を狐面で顔を隠した画商の旦那様が、一緒に絵に込められた思い出を解きほぐす恋愛ファンタジー。祖父が菓子を納めていた店の主・秋芳家。しかし律は菓子店ではなく画廊を経営していて、相談が寄せられる絵の怪奇現象を解決する、祖父から恵茉へ受け継がれたゆびさき宿りの力。最初は婚約者という困惑から始まった律との関係も、一緒に相談に関わるうちに少しずつ変わっていって、過去を乗り越えて強くなり律を意識してゆく恵茉がなかなか良かったですね。2023/12/04
ruruco
11
積読本消化。思っていた以上にがっつりファンタジーだった。情念を抱く絵が放つ怪奇現象をその絵が欲するお菓子を供えることで供養する画廊の店主とその菓子を作るの恋愛ファンタジー。画廊のお抱え職人だった祖父の後を継いだ女子高生恵茉。なんとも暗い子だなぁと思ったら、小学生の時にひどい虐めを受けていた。謎解き要素もあって、シリーズ化もできそうな内容なので、過去に受けた仕打ちから解放されたヒロインと少し弱気なあやかしヒーローの仲の進展も見たいと思った。2024/04/21
ローリー
7
最後の身内である祖父を亡くした恵茉(えま)は、祖父の遺した言葉に従って代官山のお屋敷を訪れる。そこは画廊でありながら、助けを求めるあまり不可思議な現象を起こす「絵」に対してお菓子を供えて鎮めると言う、不思議な生業をしていた。そこへお菓子作りとして受け入れられた恵茉と若主人の律との恋物語。語り手が恵茉固定なので、分からないことも多く、律がしていることがそもそも初めての経験なので、読者としても読んでいてもどかしい。ただ、恵茉の純真さと律の真摯さは読んでいて心地よかった。続編ができそうなので期待したい。2023/10/10
ごま麦茶
7
妖力を宿し暴走してしまった絵画を、ただの絵に戻すため、縁あるお菓子を捧げてお祓いするお話。次はどんな絵が?お菓子が?と、最後まで楽しく読みました。結構気の強いキャラ(ベーカリーや和菓子屋の奥様…)も多かったけど、そういう人の言葉が大切なことに気づかせてくれたり。恵茉と秋芳家のひとたちのやりとりにはほっこりしました。シリーズ化するのかしら。してほしい!楽しみにしてます!2023/09/20
色素薄い系
6
お菓子と絵、という題材が珍しい作品でした。が、美可子は小学生の頃からの恨みを長く持ちすぎだし、ちとせの店主も恵茉の態度が良くなかったのも悪かったと思うけど初対面の人間に当たりが強すぎる。後から息子は喋れないから表情を見て人とコミュニケーション取ってるとか言ってたけど、そんなの初対面じゃ知らんがな。2023/12/24