いたみを抱えた人の話を聞く

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いたみを抱えた人の話を聞く

  • ISBN:9784422118123

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内容説明

身体的、心理的にいたみを持つ人たちの語りを、どのように聞けばいいのか? 生きていくなかで出会う苦しみや死と、どう向き合えばいいのか? エビデンス重視の現代医療に警鐘を鳴らし、患者一人ひとりの物語に耳を傾けながら治療を行う緩和ケア医と、多くの吃音当事者に話を聞いてきたノンフィクション作家が、人のいたみ、そして自分自身のいたみを巡って言葉を交わした対話の記録。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

けんとまん1007

62
ただ、そばにいること。その持つ意味は、限りなく大きなものがあると思う。そばにいること、1日、短い時間であってもいいので、それを長く続けること。五感を通して、いや、第六感・・・も含めて、伝わるものがある。そこにいる相手へ、思いを向けること。こころは、肉体としての身体へ及ぼす影響は小さくないと思う。確かに、エビデンスを尊重することは大事だと思うが、そこに頼り切ってしまうのはどうなんだろうという疑問は、ずっと持っている。人が人であることの意味を考えざるを得ない。2024/06/10

ネギっ子gen

54
【しっかり関われたら、しっかり別れられる】『吃音』などの著作で知られる作家が聞き手となり、患者一人ひとりの物語に耳を傾けながら治療を行う緩和ケア医に、目前の人の「いたみ」にどのように向き合うかを訊いた記録。<タイトルにある「いたみ」はひらがなで書かれている。医学では、心の痛み、体の痛み、社会的な痛み、スピリチュアルペインなどと痛みも分けて考える傾向がある。しかしひらがなの「いたみ」はこれらを分けずに包含しているように思われたし、さらには「痛み」だけでなく「悼み」や「傷み」と言った意味も含まれてくる>と。⇒2024/05/28

たまきら

46
読み友さんたちの感想を読んで手に取りました。誰もいない深夜の居間で、猫の寝息をBGMにこの本を読んだのですが、そうするのにふさわしい、吐息に耳を澄ますような、静かに相手の体温を感じ取るような内容であり、文体です。痛みを抱える人の聞き手である医師、その言葉の聞き手であるライター。二人の世界が感じられる世界観です。美しかった。でも私が患者だったら恥ずかしながらもっと騒がしい現場かもしれないな。2024/10/02

kamakama

16
ノンフィクションライターの近藤雄生氏が聞き手になり、緩和医療の専門医岸本寛史氏が自らの知見を述べていく。普通ならまず交わることはなかっただろう二人をつないだのは一人の編集者。その編集者の働きかけがあったから、関わる気持ちになったと語り、岸本氏は彼女に心から感謝している。近藤氏もただ聴いているだけではない。近藤氏と岸本氏相互のやりとりの中で生まれてくる対話の素晴らしさに魅了された。岸本氏の語りからは学ぶべき事がたくさんあった。読み終えた後は、お二人の優しい語りと温かい気持ちが心に残って、心地よかった。2025/01/26

チェアー

11
大きな傷があると、他人が見て大きな苦しみと思うことも、それほど大きく感じない。痛みを感じるたび、あの時の痛みと苦しみを思い出すからだ。病の痛みは単なる痛みにとどまらず、最も大きな痛みにつながる。 周りにいる者は、話を聞くことしかできない。痛みや辛さを共有することはできない。ただ、想像するしかない。 いたみを抱えた人の話を聞くことは、自分のいたみを確認することだ。そして、自分のいたみは相手に伝わる。 2023/10/27

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