ちくま新書<br> エネルギー危機の深層 ――ロシア・ウクライナ戦争と石油ガス資源の未来

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ちくま新書
エネルギー危機の深層 ――ロシア・ウクライナ戦争と石油ガス資源の未来

  • 著者名:原田大輔【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2023/09発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075802

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内容説明

ロシア・ウクライナ戦争の背後で繰り広げられる、エネルギーをめぐるもう一つの戦い。企業活動や私たちの生活に深刻な打撃を与え、国際エネルギー機関が「史上初のエネルギー危機」とまで呼ぶ今日の危機的状況はなぜ引き起こされたのか。本書では、ウクライナ侵攻とそれを契機とする制裁の応酬について、エネルギーの視点から徹底的に読み解くことで、石油・天然ガスをめぐる最新地図と、その深層にある流れを明らかにしていく。近年の脱炭素潮流も踏まえつつ、エネルギー資源をめぐる世界情勢とその未来に光を当てる現代の必読書。

目次

はじめに/序章 激変するエネルギー資源情勢/史上初のエネルギー危機/ロシア・ウクライナ戦争がもたらしている2つの激震/OPECとロシア/脱炭素へ舵を切った世界/エネルギーのトリレンマ/本書の構成/第1章 エネルギー問題としてのロシア・ウクライナ戦争/外貨獲得の大動脈を握っていたウクライナ/すべての起点であるウクライナガス供給途絶問題/追い込まれたウクライナ/独露パイプライン稼働の真の目的──ウクライナ包囲網の構築/クリミア併合のもう1つの目的/証明されつつある黒海のポテンシャル/攻撃にさらされてきた「ノルド・ストリーム2」/米国の不都合な真実/ロシアが演出する原油・ガス価格の高騰/価格高騰の恩恵を受けられないロシア/「ノルド・ストリーム」破壊工作の衝撃/国家が犯人/爆破工作翌日はバルト海パイプライン稼働式典だった/それでも石油ガスは流れている/第2章 前例なき対露制裁──実態とその効果/「前例なき」制裁の発動/3つの政策と1つの神風/ロシアの過信──2014年クリミア併合時制裁への耐性と強靱化/「ノルド・ストリーム2」の独自完成/なぜ天然ガスは禁輸にならないのか/ロシアの歳入に占める石油収入のインパクト/買い手版カルテルという史上初の試み──プライスキャップの実装/「友好国」を巻き込む妙案/プライスキャップの弱点とは/アメリカの期待に沿わない湾岸諸国/OPECプラス立役者であるロシアへの義理/撤退する欧米メジャーと残留する日本企業/ロシアが今恐れていること/第3章 制裁の応酬と加速する脱ロシア/ノヴァク副首相のタブー発言/ガス代金のルーブル支払い強制/ガス版OPEC戦略とその破綻/ロシアの誤算──加速する脱ロシア/デュアル・サプライ体制を実現したドイツ/奔走するロシア/歴史は繰り返す──対中パイプライン再び/今は買うべきときではない/欧州が盛り込んだLNG機器禁輸の不可解/サハリン・プロジェクトを狙い撃ちにするロシアの本音/ロシアの歳入は今後確実に減少する/第4章 エネルギー危機はいつまで続くか/戦争も制裁も長期化する/巷間を賑わすプーチン不在説の危うさ/鍵を握る中国需要の伸び、OPEC増産、そして二次制裁への拡大/特効薬のない天然ガス──天然ガス禁輸の行方/「ノルド・ストリーム」破壊が導くさらなる危機/市場を不安定化させるLNG機器禁輸とロシア産LNG/脱ロシアが加速する脱炭素の落とし穴/第5章 脱炭素とエネルギー資源の未来/新型コロナウィルスが脱炭素を導いた/ロシアと欧州の前哨戦/水素が抱える課題/脱炭素は脱化石燃料を意味しない/ロシアはすでにネットゼロを達成している?/ロシアの脱炭素シナリオ/アンモニア・ブーム/ターコイズ水素の可能性/したたかなロシア──世界最大規模の3つの脱炭素資産/したたかな欧州──ロシア外しとは裏腹に/したたかな産油ガス国──「ダイベストメント」が価格高騰を招く/脱炭素が単純化するトリレンマとそのしわ寄せ/終章 日本の選択/エネルギー安全保障を高める3つの多様化/脱炭素もエネルギー源の多様化を促進する/日本が進むべき道/(1)脱炭素ゲームの勝者/(2)脱炭素に空中分解のリスクはないか/(3)価格高騰防衛策・供給源多様化のための上流投資の継続/(4)G7、特に米国との連携強化/(5)戦後を見据えた視点──対露戦略をいかに再構築するか/あとがき/推薦の辞(細野哲弘)/参考文献

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まーくん

85
著者は石油公団(現JOGMEC)入団後、資源エネルギー庁出向を経て06年モスクワ赴任。ロシアにおける石油ガス開発プロジェクトに関わり、現在は調査課長としてロシアおよび旧ソ連諸国等における石油ガス上流部門の情報分析に当たっている。著者の上司は本書の推薦文で、ロシアの侵攻一週前に著者が発表したレポートで「諸々の要素はあるものの、総合的に考えてロシアがここでウクライナに攻め入ることは不合理であり、非現実的である」と分析したが、結果的に予想は当たらなかったものの判断を間違えたのは露大統領の方だと評している。⇒2024/04/03

よっち

31
ロシア・ウクライナ戦争の背後で繰り広げられるもう一つの戦い。近年の脱炭素潮流も踏まえつつ、エネルギー資源をめぐる世界情勢を解説する一冊。史上初のエネルギー危機とまで呼ぶ今日の危機的状況はなぜ引き起こされたのか。ロシアがクリミア半島を併合したもう一つの狙いなど、ウクライナ侵攻とそれを契機とする制裁の応酬をエネルギーの視点から徹底的に読み解いていて、資源に乏しく輸入に頼る日本がこれから直面する可能性を挙げて、戦争終結も見据えて今のうちからどう備えるべきなのかという視点は確かに今後必要になってくると感じました。2023/10/30

もりやまたけよし

30
タイトルに「真相」ではなく「深層」となっていたがまさにその通りだと思った。ロシアの絡んだエネルギー問題を深く掘り下げた本だ。知らなかったことがいっぱいで知識を深めるにはよかったが、希望の見えない暗闇でさまよう気分になってしまった。2023/12/14

紙狸

18
2023年刊行。ロシア・ウクライナ戦争という大きな出来事によって、日本にこんな専門家がいたのかという、優れた人材が浮上している。著者、原田大輔氏は、エネルギー分野でのそういう存在。エネルギー・金属鉱物資源機構(JOGMEC)の専門家。戦争を引き起こしたロシアへの制裁で、エネルギーの世界も激動している。ロシアは本来、脱炭素に向けて大きな役割を果たすポテンシャルも持っている。著者は日本がとるべき政策として、ロシアへの制裁参加を支持しつつ、エネルギー供給源の多様化や脱炭素を視野にいれるべきだとの立場だ。2024/03/13

月をみるもの

17
西側がロシアから石油買わなかったら、中印が買い叩くだけじゃね?と思ってたのだが、「これ以上の価格でロシア産石油を買うなら、海上輸送に関する保険サービスを提供しない」というプライスキャップを設定してたのか。この政策によって(1)ロシアの石油販売収入を減少させ(2)かつ世界全体への供給を維持させることで(ロシアを利する)石油価格高騰を防ぐ という相反する目的を達成していたとは。。 最も Comodity化のすすんだ商品である石油だが、その価格は需給バランスという市場原理で決まってるわけではないのであった。。2024/08/09

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