ちくま新書<br> 現代フランス哲学

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ちくま新書
現代フランス哲学

  • 著者名:渡名喜庸哲【著者】
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 筑摩書房(2023/09発売)
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  • ISBN:9784480075741

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内容説明

1968年五月にパリで起こった「革命」を起点に、若者や労働者を巻き込み、時代や経験に深く根ざす思想運動として発展した現代フランス哲学。資本主義の矛盾や構造的な抑圧がさまざまに露呈する1980年代以降、それは大きな変化を遂げた。構造主義からポスト構造主義を経て、政治や宗教、労働、ジェンダー/フェミニズム、科学と技術、エコロジーをめぐる諸思想にいたるまで。フーコー、ドゥルーズ、デリダに続き、変容する社会を鋭くとらえる強靭な思想の広がりを一望する。

目次

はじめに/I 構造主義とポスト構造主義/第1章 構造主義を振り返る/サルトルと実存主義/レヴィ ストロースと構造主義の登場/ロラン・バルトと記号学/ジャック・ラカンと精神分析/ルイ・アルチュセールと主体化/ブックガイド/第2章 ポスト構造主義/「ポスト構造主義」の誕生/ミシェル・フーコーと知の考古学/ジャック・デリダと脱構築/ジル・ドゥルーズと生成の哲学/〈六八年五月〉/ブックガイド/II 転換点としての八〇年代/第3章 ポストモダン社会か新自由主義社会か/リオタールとポストモダン/ボードリヤールとシミュラークル/ドゥルーズ+ガタリとリゾーム/新自由主義社会の到来?/ミシェル・フーコーと生権力論/ジャック・ドンズロと〈社会的なもの〉/フランソワ・エヴァルドと福祉国家/ブックガイド/第4章 〈政治的なもの〉の哲学/ソルジェニーツィン事件と全体主義/ヌーヴォー・フィロゾフの登場/第二次世界大戦の記憶の再燃/「アウシュヴィッツ」とポストモダン/クロード・ルフォールと政治哲学の復興/ミゲル・アバンスールと蜂起するデモクラシー/コラムコレージュ・ド・フランスと国際哲学コレージュ/ピエール・ロザンヴァロンとEHESS学派/ジャン リュック・ナンシーと無為の共同体/コラムヴィトリーのブルドーザー事件/エティエンヌ・バリバールと市民権の哲学/ジャック・ランシエールと不和/ブックガイド/第5章 〈宗教的なもの〉の再興/マルセル・ゴーシェと宗教からの脱出としての宗教/ピエール・ルジャンドルとドグマ人類学/フランス現象学の神学的転回/ミシェル・アンリと現れないものの現象学/ジャン リュック・マリオンと贈与の神学/ポール・リクールと解釈学/エマニュエル・レヴィナスとその影響/八〇年代以降のユダヤ思想/フランスにおけるイスラムの哲学/コラムスカーフ事件/ブックガイド/III 科学と技術/第6章 科学哲学/科学哲学と科学認識論/ガストン・バシュラールとジョルジュ・カンギレム/フランソワ・ダゴニェとネオ唯物論/ミシェル・セールとノイズの哲学/アンリ・アトランと生命科学の哲学/自己組織化の哲学/現代の科学認識論/ブックガイド/第7章 技術哲学/技術批判の哲学/ジャック・エリュールと技術批判/ジルベール・シモンドンと個体化/ブリュノ・ラトゥールとアクターネットワーク/ポール・ヴィリリオと速度学/ベルナール・スティグレールと補綴性/レジス・ドブレとメディオロジー/コラムジルベール・オットワとベルギーの技術哲学研究/ブックガイド/IV 変容する社会/第8章 ジェンダー/フェミニズム思想/フランスは女性にとって生きやすい国か/フランスの第一波フェミニズム/シモーヌ・ド・ボーヴォワールとフェミニズム/〈六八年五月〉と女性解放運動/デルフィ+バダンテールと普遍主義的フェミニズム/リュス・イリガライと性的差異の倫理/エレーヌ・シクスーとエクリチュール・フェミニン/ジュリア・クリステヴァと母性の思想/コラムパリテの哲学/ジュヌヴィエーヴ・フレスと性差の歴史/ギィー・オッカンガムとLGBTQの思想/近年のジェンダー思想/コラムムスリムのフェミニスト/ブックガイド/第9章 エコロジー思想/アンドレ・ゴルツと政治的エコロジー/アラン・リピエッツとポスト・フォーディズム/コラムフランスのエコロジストたち/フェリックス・ガタリとエコゾフィー/リュック・フェリーとディープ・エコロジー批判/人間と自然の関係──オギュスタン・ベルクとミシェル・セール/ブリュノ・ラトゥールとガイアのエコロジー/フィリップ・デスコラと人類学の存在論的転回/ボヌイユ+フレソズと人新世の哲学/セルジュ・ラトゥーシュと脱成長/ブックガイド/第10章 労働思想/コルネリュウス・カストリアディスと自主管理の思想/アンドレ・ゴルツと労働の変容/コラムリップ社の自主管理/リュック・ボルタンスキーとマネジメント社会の到来/アラン・シュピオと労働の法思想/アラン・カイエと経済主義批判/クリスチャン・ラヴァルとホモ・エコノミクスの思想史/ドミニク・メーダと労働社会の終焉/フレデリック・ロルドンとスピノザ的政治経済学/コラムフランスのデモ/ブックガイド/V フランス哲学の最前線/第11章 哲学研究の継承と刷新/哲学史/コラム文庫クセジュ/フランス現象学のその後①/フランス現象学のその後②/コラムフランスで哲学者になるには/ジャック・ブーヴレスとフランスの分析哲学/フーコー以降/デリダ以降/ドゥルーズ+ガタリ以降/アラン・バディウと数学的存在論/カンタン・メイヤスーと思弁的実在論/ブックガイド/第12章 フランス哲学の射程/戦争の哲学/コラムシャルリー・エブド事件をめぐって/カタストロフについての思想/ジャン ピエール・デュピュイと賢明な破局論/食の哲学──コリーヌ・ペリュションとドミニク・レステル/動物の哲学/植物の哲学/COVID-19をめぐって/スポーツの哲学/コラム社会における哲学/ブックガイド/おわりに/現代フランス思想家マップ/あとがき/参考文献/人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

榊原 香織

61
現代思想、有名どころは80年代くらいで止まってる感あるけど、流れを分かりやすく解説し、その後、もしっかり紹介してくれている。ポストモダンはバラエティ豊かで、人類学は哲学と近づいてる気がして嬉しい2024/01/04

ころこ

43
本書は68年を頂点にした「フランス現代思想」の後の現代フランス哲学を固有名とトピックを現在まで追っている。著者は「フランス現代思想」と現代フランス哲学を意識的に分けている。著者の整理だと、フランス哲学の大きな流れの中に「フランス現代思想」が入っていて、現代フランス哲学がそれよりも広い。序盤で「フランス現代思想」が確認されている。巻末にも系譜のマップがあるように、フーコー、ドゥルーズ、デリダについてある程度のことを知らないと、その後の固有名が初耳だとしても、全くついていけないだろう。著者の「フランス現代思想2023/09/17

井の中の蛙

10
ポスト構造主義と呼ばれるようなフーコー、ドゥルーズ、デリダ以後に重点を置いた概説書。ミシェル・セールについて軽く書いてあるような本が読みたくて読んだ。科学哲学の所が一番個人的に興味深かったが、他の章も面白く読めた。ジャン=リュック・ナンシー、ミシェル・アンリ、バシュラール、カンギレム、ダゴニェ、スタンジェールに興味が湧いた。2024/04/23

nnnともろー

3
1980年代以降がメイン。まさに「現代」。フーコーやデリダなどはよく知られているが、その後の概要・流れがよくわかる1冊。今度は深掘りしたものも読みたい。2023/11/09

sk

3
ビッグネーム以後のフランス哲学。2023/11/03

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