ちくま新書<br> ガンディーの真実 ――非暴力思想とは何か

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ちくま新書
ガンディーの真実 ――非暴力思想とは何か

  • 著者名:間永次郎【著者】
  • 価格 ¥935(本体¥850)
  • 筑摩書房(2023/09発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 240pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480075789

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内容説明

★中島岳志氏推薦! 「今後、この本を抜きにしてガンディーを語ることはできないだろう」★ 贅沢な食事をしないこと、搾取によってつくられた服を着ないこと、性欲の虜にならないこと、異教徒とともに生きること、そして植民地支配を倒すこと――。ガンディーの「非暴力」の思想はこのすべてを含む。西洋文明が生み出すあらゆる暴力に抗う思想・実践としての非暴力思想はいかに生まれたのか。真実を直視し、真実と信じるものに極限まで忠実であろうとしたガンディーの生涯そのものから、後の世代に大きな影響を与えた思想の全貌と限界に迫る。ガンディー研究を一新する新鋭の書!

目次

はじめに──非暴力思想とは何か/あるジャーナリストの「困惑」/誤解されたガンディーの非暴力思想/サッティヤーグラハ=真実にしがみつくこと/人間はどこまで真実にしがみつけるか?/本書の構成//第一章 集団的不服従──日常実践の意義/1 生い立ちと政治的生涯/(1)幼少期・青少年期/(2)ロンドン滞在期/(3)南アフリカ滞在期/(4)インド滞在期/根本的な問い/2 四度の集団的不服従運動/(1)南アフリカの集団的不服従運動/(2)第一次独立運動/(3)第二次独立運動/(4)第三次独立運動/日常実践への着目//第二章 食の真実──味覚の脱植民地化/1 菜食主義への目覚め/ロンドンで見つけた「伝統」の価値/菜食主義レストランでの出会い/菜食で「強く」「男らしく」なる/2 味覚の植民地化/チョコレートの中に「死」を見る/人間本来の味覚の疎外という問題/果実食の実験/3 塩、その「非暴力的」な食材/インド塩税法への抵抗/「食の真実」にしがみついた歴史的瞬間/ミルクをめぐる葛藤/晩年のレシピ//第三章 衣服の真実──本当の美しさを求めて/1 人間本来の姿を目指して/八度の変化/衣服の最終目的/2 チャルカーで紡ぐ白い服/着心地・機能性/国産であること/伝統的革新性/限界と現代的意義//第四章 性の真実──カリスマ性の根源/1 ブラフマチャリヤ思想の形成/幼い頃の「呪い」/東西哲学の吸収/思想上の矛盾/2 サッティヤーグラハ運動の誕生/従軍体験が生んだブラフマチャリヤの誓い/沸き起こる「魂の力」/カレンバッハとの同居生活/男女の愛を超えようとした同性愛的禁欲行動/3 男性的ナショナリズムから女性原理へ/非暴力と生命エネルギー/「女性原理」の発見と塩の行進/タントラ学派からの影響/晩年の「大いなる供犠」/「新しい」ブラフマチャリヤが行われた理由/「おお、マハートマー」//第五章 宗教の真実──善意が悪になる時/1 「宗教」以前の宗教的体験/多様な宗教文化に開かれた生育環境/「ラーマのおまじない」/2 全ての宗教に通じる教え/諸宗教の経典を読む/南アフリカで起こった「宗教」への目覚め/『バガヴァッド・ギーター』と戦闘的非暴力/非暴力思想の三つのレイヤー/3 非暴力的宗教多元主義とインド独立運動/近代西洋的な「宗教」概念からの脱却/非暴力の特殊性に起因する宗教対立──モープラー暴動/知られざる「ヒンドゥトヴァ」の系譜/忘れられたジンナーの警鐘/「ヘー、ラーマ」──究極の独我論?//第六章 家族の真実──偉大なる魂と病める魂/1 「小ガンディー」の活躍/父を支えた長男/教育をめぐる緊張/重大な思想的変容期における別離/(1)絶対的平等主義──万人に対して平等である/(2)身体宇宙論──他者は自己の幻影である/2 長男の低迷と父の自己浄化/ハリラールの挫折と反抗/息子を「変革」し「勝利」しようとする父/発見されたガンディーの妻の日記//終章 真実と非暴力/「自己」の発見/自分自身になることで「普遍的存在」に至った人物/二つの大敵──恐れと文明/矛盾/批判的継承の重要性/謝辞/文献一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

さゆ

167
ガンディーを非暴力だけでなく真理を追及する人という視点からまとめられている。もともとインドは複数の宗教が混在しており、インドと東西パキスタンに別れるときも共存の道を模索していた。それはガンディーの持つ、「さまざまな宗教は1つの場(真理)に到達するもの」という宗教観によるらしい。現在のイスラエルとパレスチナの問題も、カナンの地を与えるという字義的なものではなく「人間同士は異なる考え方を受け入れてなお共存することはできるのか」という、ひとつ神からの試練と捉えることはできないだろうか?2024/01/11

skunk_c

82
『○○の真実』と題する本は、それまであまり語られなかった(通常ネガティヴな)面を暴露するようなものが多くて手が伸びないのだが、本書は全く異なる。そもそもタイトルの「真実」はまずガンジーにとっての「真実」、彼がしがみつくことを目指した「真実」であり、たゆまぬ自己鍛錬によってそれを目指すなかで、恐れによって逃避する非暴力ではなく、勇気を持つ積極的な非暴力思想が確立されて行く姿が食・衣・性の側面から描かれる。そしてそこからガンジーの目指す非暴力が再構築されている。その意味で本書は両義的な真実を明かした良書だ。2023/11/08

樋口佳之

59
ご紹介に感謝。「今後、この本を抜きにしてガンディーを語ることはできない」(中島岳志)の惹句通りの本でした。マハトマは文字通りのマハトマとあらんとした方だったのですね。政治家、運動の指導者の枠を遥かに超える人物像を読んだと思います。/でもそういう偉大すぎる実践は、家族にしてみれば重圧になるのもありがちなお話で、コミューン的共同生活に入る時点で何故家族を解散しなかったのかな。2023/11/13

活字スキー

27
とても、とても読み応えのある一冊だった。欧米に憧れ欧米式の立身出世を素朴に望んでいた典型的インド・エリート青年ガンディーが、いかにして我々の知る「偉大なる魂を持つ者ガンディー」となっていったのか、食、性、衣服、宗教、家族などのテーマごとにつぶさに解説。本書ではその思想が形成されてゆく過程において「渉猟」「彫琢」という言葉が多用され、ガンディーが決して完璧な存在などではなく、数多くの失敗や自己変革を重ねながら真実を希求し続けていたことがよく分かった。つまりガンディーまじマハートマー。 2023/10/05

ピンガペンギン

24
ガンディーの生涯を概観するとともに食、衣服、性、宗教、家族という側面から光を当てていく。自伝には絶対に書かれていないような内容も含まれていて、内容は豊富だった。 「非暴力を実践するうえで最も重要なことは「恐れの感情を振り払うこと」だとガンディーは考えていた。」(P264)若いときロンドンで流行のスーツを身にまとっていたが、南アフリカに行き人種差別体験をして、食、衣服、性などの生活全般に及ぶ植民地主義の影響に自覚的になっていく。その時代ごとに変容する衣服の様子を見るだけで、思想を即実践する→2023/11/05

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