内容説明
首都圏を震撼させた地下遺構連続殺人事件。その犯人も被害者の共通点も不明のまま、捜査は暗礁に乗り上げていた──。そんななか、地下遺構探索サークルを主宰する大学生・藤間秀秋、名探偵・七ツ森神子都とその助手・風野颯平らは、令嬢・御坂摩耶の依頼で、彼女の祖父である有名政治家が遺した別荘を訪れる。そこに隣接する地下遺構を調査中に山崩れが発生、身元不明の屍蝋化死体、摩耶の祖父が金塊を残したと信じるグループとともに、内部に閉じ込められてしまった。脱出方法を探して地下遺構を彷徨うなか、何者かに一人また一人と殺されていく。七ツ森と風野たちは連続殺人犯を突きとめ、閉鎖空間から無事生還できるのか。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
232
続編出すことを意識してか、探偵役の神子都にやたらシリアスな背景設定を与えている。しかし続編刊行厳しそうですべて徒労に終わってしまったんじゃないかと心配。そこら辺の説明を削ぎ落していれば、単体作品としてもうちょっと面白くなった予感がアリアリで、色々と上手く機能しなかった残念さがすごい。前置きが長くなったせいでクローズドサークルの醍醐味も損なわれてしまい、犯人の登場もおそい。よほどうまく続編で回収しなければ必要のない伏線が満載。文章の味気なさもあり、久しぶりに読み進めるのがちょっとしんどい作品だった。2023/12/11
森オサム
38
作者のあとがきを読んで興味を持ち購入。なのにあれ?、あとがきが無い!、と思ったらWeb東京創元社マガジンに載ってました、そうだったか。さて、賛否両論の感想が目に付く作品ですが、確かにクセが強い。日本に軍隊が有ったり、捜査コンサルタントが居たり、地下遺構が沢山有ったり、パラレルワールド?。背景に学生運動や連合赤軍的な重い設定を付けている理由も、?。が、地下迷宮に閉じ込められて本格クローズドサークル物になってからは面白い。と思ったら、この何とも言えないオチ。でも9年かけて全面改稿した結晶、私は支持に回ります。2024/05/14
よっち
31
地下探索サークルを主催する大学生・藤間とともに政治家が遺した別荘を訪れる探偵・七ツ森とその助手・風野。その近辺の地下シェルターを調査中に壁が崩壊、一行は内部に閉じ込められてしまうミステリ。首都圏で発生した地下建築での連続切り裂き魔事件捜査が難航する中、閉じ込められた地下で連続殺人が起きる状況。大学生たちは犯人の手を逃れ閉鎖空間から脱出できるのか。この独特な世界観に慣れるまではやや難儀しますが、人と物語が動き出した中盤以降はテンポが上がっていって、最後に明かされる事実から繋がる結末がなかなか効いていました。2023/10/31
きょん
13
核戦争に備えて地下室を作った遺構が多数存在するという設定の昭和50年頃の雰囲気のパラレル日本が舞台。世界観を説明するのが小出しなので中々把握しにくい。地下に閉じ込められてからのスリリングな展開はワクワクしたけど、解決編とエンディングはちょっと嫌な読後感を抱いてしまった。2025/02/08
huraki
9
探偵の七ツ森と助手の風野はとある事件の捜査のために訪れていた地下施設に閉じ込められてしまう。地下施設に眠る埋蔵金目当てのグループと共に一行は調査を行うが、やがて一人の他殺体が発見される。閉鎖空間で起こる連続殺人事件。出口を探しながらの極限状態の中、彼らは脱出することが出来るのか?複雑に入り組んだ構造と物語が大きく動き出す中盤以降は目が離せなかった。2023/12/18