内容説明
英文法の世界でいくたびも論争を巻き起こしてきた記号「セミコロン」。
・英文法家たちの仁義なき論争
・セミコロンのせいで酒も飲めない? ボストン中が大騒動に。
・終身刑か死刑か、句読点が生死を分かつ。
・句読点の使い方を指摘され、校正者にブチ切れるマーク・トウェイン
・難解すぎてまったく売れなかった『白鯨』における大量のセミコロン etc.
小さなトラブルメーカーが巻き起こす波乱万丈の文化史!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ネギっ子gen
66
【ささやかな記号だけれど、そのいたずらっぽいインクの滴には壮大な思いが凝縮されている。セミコロンの生い立ちは、句読点だけでなく言語とその規則一般についての物語でもある】英文法の世界で長く論争を巻き起こしてきた記号;英文法家たちの仁義なき論争や、校正者に句読点の使い方を指摘され激怒したマーク・トウェインなど、句読点をめぐる文化史を紹介。<句読点は文の論理構造を明示するだけでなく、それを超えた意味合いを生み出すこともできる。すぐれた句読点には音楽を奏でたり、絵を描いたり、感情を喚起したりする力があるのだ>。⇒2023/11/03
hnzwd
22
英語の文だと色々な記号が使われてるなあ、とは思ってましたが、その文法や意味ってほとんど理解してませんでした。本書は";(セミコロン)"の使われ方を例文にあげながら、どういう意味で/効果を狙って使われてきたのか、ルールはあるのか、というところを語る一冊。文意に曖昧さを持たせる、とかスピード感を調整したい、ってあたりはなんとなく。日本語訳も素晴らしく翻訳者の仕事を感じられます。原文で味わえるくらいは英語力あってもいいなあ。。2024/04/23
ねむ
14
セミコロンのたどった歴史がメインテーマであって、セミコロンの使い方を教えてくれる本ではない。その点、私は勘違いして読み始めてしまったため、面白かったのは「セミコロンの達人たち」の章くらい。この章では、作家たちによるこだわりのセミコロン使用法を原文つきで説明してくれるので、わかりやすかった。文法などの規則を絶対視することが、それを知らない・学べる環境にない人を一方的に排除することになる危険性については考えさせられた。全体に真面目な語り口にジョークが挟まり、テンションが一定せず少々読みづらかったのが残念。2023/12/24
かもすぱ
11
セミコロンが引き起こすいろいろについての本。そもそもセミコロンは日本語の文中で使ったことがないし、邦訳される際に隠される存在でもある。コロンやピリオド、コンマとの違いもはっきりわかっていなかった。でも英語話者でも大体そんな認識らしい。この本ではセミコロンが生み出される場面から、セミコロンが巻き起こす文法騒動・条文騒動、セミコロンが生み出した名文などを紹介し、最後にセミコロンを使える人間とは何者なのかを問う。なかなか壮大な着地点になったと思う。句読点・役物の文法は面白いけどやっぱりセンスとか好みなんだな。2023/11/19
belier
9
これまでセミコロンは使ったことないと思う。そんな人間はこの本を読んでも、使えるようにはならない。だが使い方を間違うと、重大な結果をもたらすことがあるのは理解した。著者は教養がありすぎていて、訳注がないとわからないジョークが多い。この人は私見として、ルールの押し売りにも、セミコロン嫌悪者にも組しないと述べているが、セミコロンの達人たちの文章を熱心に紹介しており、実はセミコロン愛は強いのではないかと思う。達人のうち、メルヴィルとヘンリー・ジェイムズの文章はひどく難解。だが著者による解説はどれも面白かった。2024/02/19