内容説明
専制国家ギレアデの中枢に近づく女、司令官の娘、隣国の少女の3人が闘いを選んだとき、強大な国家をも揺るがす。ブッカー賞受賞
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Shun
47
ディストピア小説「侍女の物語」から15年後の物語。前作の細部の記憶は曖昧だが本作導入部からのストーリーへの没入感は素晴らしかった。それは独裁国家ギレアデの崩壊を望むとある人物の手稿から始まる。追々この人物の身上は明かされていくが、この資料からすると書き手は国家転覆に尽力した高位の人物でありギレアデの闇を世に暴かんとする勇気ある女性のようだ。徹底した尊厳の剥奪により名ばかりの女性の幸福を謳ったギレアデの統治はまさに女性の力によって変わろうとしていくのだった。前作よりもこの国家の詳細が明らかになる重要な作品。2023/10/15
R子
27
『侍女の物語』の15年後を描く続編。行動範囲を限られた〈侍女〉には見えなかった世界が、今作では〈小母〉をはじめとする複数の視点から語られる。ギレアデの権力者たちが、事実を捻じ曲げてきたこと。聖書を都合良く解釈してきたこと。国の名誉を護る為というのは口実だ。実情は自分の立場が危うくなるのを恐れ、先に相手を支配しようと策を講じてきたのだ。彼らの思考の歪みが、国をじわじわと腐らせていく。この問題にどのように切り込み連帯し決着するのか気になって、後半一気読み。リディア小母の印象が今作でがらりと変わった。2025/07/05
かふ
26
『侍女の物語』を世に出して、その続編を望む声が多かったのにも関わらずすぐに書けなかったのは、現実世界のほうが遥かにディストピアに成って行ったからだという。それでも続編を望む声は多く、一応の決着は付けたと感じなのだろう。前半の暗澹たる描写は読んでいて楽しいものではなかった。特に男性はそう感じるだろうと思う。それとイスラム社会の女性蔑視とか似たような事件が未だ解決されてはいない。日本でも大物芸能人?の女性接待事件とか、近いニュースが正月から飛び交っている。今『源氏物語』を読み直しているがそういう伝統は日本にも2024/01/13
河内 タッキー
11
前作「侍女の物語」の得体の知れない恐ろしい雰囲気と比べ、こちらはギレアデをぶち壊してやろうという強い女性3人の物語で、ある種の爽快感がある。アトウッドらしく、初めは情報が小出しにされており全く状況がわからない。それだけにクライマックスに向けて話が結びつき、世界が明らかになっていく。これが面白い。2025/08/17
YT
11
おなじみのリディア小母、ギレアデで生活するアグネス、カナダで生活するデイジーの3つの視点から侍女の物語から十数年経た後の物語が描かれていく。 鬱々した世界にキラリと光るシスターフッドに勇気をもらえ、前作と違い底には希望が流れている。 自然災害の多発、原発事故、経済不振、出生率の低下、へ積もる不満、憤る人々。人々は責める相手を探し始める。という部分に日本の排外主義と同じ根っこを見て暗澹たる気持ちになる。貧すれば鈍するなんて一言で片付けたくない、傍観していたらファシズム政権、なんてのはごめんだね。2025/06/27
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