中公新書<br> 司馬遼太郎の時代 歴史と大衆教養主義

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中公新書
司馬遼太郎の時代 歴史と大衆教養主義

  • 著者名:福間良明【著】
  • 価格 ¥990(本体¥900)
  • 中央公論新社(2023/08発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784121027207

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内容説明

『竜馬がゆく』『坂の上の雲』など、売上げが累計1億冊を超える大ベストセラー作家司馬遼太郎(1923~96)。日本史を主たるテーマに、人物を個性豊かに、現代への教訓を込めて記した作品は、多くの読者を獲得。「司馬史観」と呼ばれる歴史の見方は論争ともなった。本書は、司馬の生涯を辿り、作品を紹介しつつ、その歴史小説の本質、多くの人を魅了した理由を20世紀の時代とともに描く。国民作家の入門書でもある。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パトラッシュ

130
司馬遼太郎が国民的作家となった理由を、彼の戦争体験や学歴・職歴の二流性に求める。昭和の軍民エリートの傲慢さを見続けた経験が大衆向け歴史小説を書かせてドラマや映画に格好の素材とされ、文庫本で手軽に入手できたため読者層が広がり、いわゆる司馬史観が広まったと。この経歴や視点は、もう一人の大作家松本清張とほぼ重なる。司馬が戦国や明治の自由に生きられた時代と暗い昭和を引き比べたのに対し、清張は昭和の闇自体を解明しようとした。歴史と現代を相補うように書いた両作家が、学者や知識人の正統的史観を排するほど受容されたのだ。2023/02/04

trazom

126
私は司馬作品の大ファンである。だから生誕百年を前にして出版された中公新書に喜んで飛びついた。残念ながら、極めて不愉快で後味が悪い読後感。「大阪外国語学校、産経新聞という二流を歩んだ」ことが司馬さんの原点だとして、「二流」という言葉が本書を貫いて何度も登場する。私はそもそも、学歴・職歴に一流・二流というレッテル張りをする態度を心から憎む。更に「大衆教養主義」がわからない。教養を、エリートと大衆で差別して何の意味があるのだろうか。「歴史は手を出しやすい教養」として司馬作品を位置づけるのが、正しいのだろうか。2023/02/05

六点

125
学歴・軍歴・職歴・文学歴のいずれを取ってみても傍流の出身者である司馬遼太郎が如何なる逕庭を経て「おじさんたちの教養」に成り遂せたかを論じたかを緻密に論じている。書中で殆ど触れていないが、司馬遼太郎の初期の長編は雑誌・新聞の連載小説であり、かなり細分化したぶつ切れ読書になって、それも相まって「余談」の多い文体とマッチしたのでは無いだろうか?と、敢えての論を立ててみる。2023/07/02

kokada_jnet

79
主に長編作品を使った、この本の時代分析はよくできていると思うが。司馬遼太郎の短編作品が好きな自分としては、わりと、どうでもいい本であった。特に連作短編集が好き。短編作品は、比較的「文学」していると思う。2023/11/26

tamami

78
司馬遼太郎さんの著作は、発行部数が300万部を越えるものだけでも15作品にのぼり、『竜馬がゆく』に至っては、累計発行部数が2400万を超えているという。国民作家と言われる所以であろう。本書は、そんな司馬作品が広く受け入れられた時代背景、作品に流れている思想に関わる作家自身の生い立ちと作品の特質について、幅広い文献を渉猟して提示してくれる。いわゆる司馬史観について、また歴史と小説の間のことなど、興味深く読ませてもらった。良くも悪くもこれから司馬作品を読む上で欠くことの出来ない枠と視点を与えられたように思う。2022/10/31

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