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内容説明
『三国志演義』『西遊記』『水滸伝』『金瓶梅』『紅楼夢』
中国五大長篇小説の魅力を、まったく新たな切り口でひもといた名著、待望の文庫化!
2007年1月に筑摩書房より刊行された同名作品の文庫化。
本著は桑原武夫学芸賞(主催:潮出版社)の第10回(2007年)受賞作品でもある。
道化師、悪戯者、詐欺師、暴力の化身、色欲魔、純粋少女──。
これらのトリックスターたちが、中国五大白話長篇小説といわれる
『三国志演義』『西遊記』『水滸伝』『金瓶梅』『紅楼夢』の物語世界において、どのような役割を果たしてきたのか。
まったく新しい視点で物語の奥深さや共通する特性や連続性をひもといていく。
『キーワードで読む「三国志」』『水滸縦横談』『史記・三国志英雄列伝』『読切り三国志』に続く、
当社刊行の“井波中国古典文学シリーズ”の第5弾!
文庫版巻末には桑原武夫学芸賞受賞時の著者による「受賞のことば」とともに、
選考委員であった梅原猛氏、鶴見俊輔氏、山田慶兒氏の各選評も掲載。
解説……松浦智子氏(神奈川大学外国語学部中国語学科 准教授)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
95
中国古典のご専門の井波先生による中国語大小説の解説書といったらいいのでしょう。五大白話長編小説をそれぞれの特徴を一字に凝縮し、「武」(三国志演義)、「幻」(西遊記)、「侠」(水滸伝)、「淫」(金瓶梅)、「情」(紅楼夢)をそれぞれの章の題名としています。これらの小説の中の主人公あるいはトリックスターという観点から面白く説明されています。今までに西遊記は中野美代子さんの訳で完読していますが、三国志、水滸伝は日本人が書き直したものを読んでいます。金瓶梅と紅楼夢は私の苦手分野のようです。2024/02/16
しゅー
6
★★あの長大な中国五大小説を要約しただけでも相当な労作だと思う。『紅楼夢』や『金瓶梅』は未読なので参考になる。物語が語りつがれるうちにトリックスターのポジションが「張飛→曹操」だったり「三蔵→猪八戒」だったりと移行する話は興味深かった。どうりで三蔵法師って高僧のクセに空腹に耐えられなかったり、八戒をヒイキにしてたな。また宋江と李逵は二人で一体のキャラというのも、彼らの最期を思い浮かべると納得感がある。無い物ねだりなのは分かるけど、もう少し欧米との違いや日本のフィクションに与えた影響とかが読めると良かった。2023/10/08
安乃城
3
中国古典小説において、物語を攪乱するトリックスターがどれぐらい重大な部分を担っているかを論じた本。 作品のあらすじも解説してくれているので、作品そのものを読んだことがない自分でも面白く読めた。2023/10/19
黒い森会長
2
原本2007年1月刊。中国神話、五大白話長編小説「三国志演義」「西遊記」「水滸伝」「金瓶梅」「紅楼夢」とトリックスターという登場人物のポイントで分析解説したもの。このあと、著者により、岩波新書「中国の五大小説(上)(下)」2009年が出る。2023/10/27
聖龍
2
中国の五大白話(口語)長編小説である『三国志演義』『西遊記』『水滸伝』『金瓶梅』そして『紅楼夢』に挑戦する前に、これらの物語の梗概を把握するために読んだ。本著作は、神話学や文化人類学で使用されるトリックスターという概念でもって、これら五大小説の内容、関連性を検討したもの。著者の狙いが成功しているかどうかは自分には判断する資格がないが、粗筋を掴むためには大いに参考になった。各小説の検討に一つの章が割り当てられており、それぞれの内容を一字で要約した副題が付けられている。順番に、武、幻、俠、淫、情。カッコいい!2023/10/08