内容説明
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地図は道案内としてだけではなく、人類が世界や宇宙をどのようにとらえたのか、空間をどのように図面に落とし込んだのか、何に価値をおき、何を目的としたのか、などのことを伝えてきます。現代の私たちがすぐに読み解ける地図もあれば、まったく読み方のわからない地図もあります。地図とは一定のものを指すわけではありません。文化や時代によって変遷する「地図」の世界を一望できる1冊です。
5つのテーマに分けて紹介
人類が世界をどのように認識して地図に表したのか、それをどのように利用したのかという観点から、章を5つに分けて、それぞれ特徴的な地図を紹介しています。
有名作はもちろん、知られざる地域の地図も
世界地図の傑作と名高いブラウの地図から、マンモスの牙に刻まれた地図や水の流れを表したマーシャル諸島の地図、伊能忠敬による実測日本地図、現実と神話世界が分かちがたい地図など、多様な地図を収録しています。
目次
Chapter1 われらが大地
初期の地図は居住者たちによって作られた
Chapter2 山海を越えて
旅や移動を収録した地図の数々
Chapter3 探検と領土拡大
「探検」がもたらした地図のさらなる拡大
Chapter4 世界観の変客
世紀を跨いだ遠方への旅が地図を完成に導いた
Chapter5 主題図の登場
題材・使用目的を絞った地図の発展
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kinkin
89
サブタイトルは、人類は地図で何を伝えようとしてきたのか。地図がどのように変遷しどのように世界を写し出し何を目的にしたのかを読み解く(本文より)マンモスの牙に描かれたものからNASAの最新技術のちずまで人はずっと様々な方法で地図を作ってきたことを知った。マーシャル諸島の木と貝を使って作ってあるスティックアートの地図を見ると科学は進歩している一方では人が自ら歩いて考えて作ることは無くなってゆくのだろうか。そのうち方角や身近なところに行くのも機械に頼ることになるのだろうか・・・図書館にて2017/12/08
鯖
19
チェコで発見された紀元前25000年前のマンモスの牙に刻まれた地図らしきものはその周囲の風景と山や川、谷の様子が一致するらしい。ピラミッドに安置された柩の内部いっぱいに描かれたのはオシリスが誘う冥界への地図。1500年代の大航海時代に、ダチョウの卵の下半分をふたつつないで球体とし作られた地球儀にはアフリカのあたりに「ドラゴン注意」と注意書きがラテン語で記されている。どれもこれも面白かった。日本の地図も取り上げられており、特に伊能忠敬の地図の正確さは賞賛されていて、ちょっとうれしかった。2016/09/21
hnzwd
18
マンモスの牙に描かれた図からグーグルアースまで。自分の周辺や経路のみを記載した簡素なものから世界地図へと地図が発展していく歴史を実物の写真と一緒に解説する本。禹跡図と伊能忠敬はオーバーテクノロジー過ぎないか??あと、海の怪物描いちゃってるカルタ・マリナはやっぱり好きだ。2022/12/12
更紗蝦
18
正確さや実用性を目指した地図より、「マッパ・ムンディ」(キリスト教世界観を具現した中世ヨーロッパの世界地図)のような観念的な地図の方に興味を引かれました。現物の大きさが書いてあったりなかったりするのがちょっと残念でした。特に地球儀は直径をきちんと書いてほしかったです。2018/05/16
りょちみ
15
地図は、世界の地形や都市の場所を知るためのもの、という認識でした。でも過去に作られ今も残っている地図を見てみると、自分たちの住んでいる場所を記録するためであったり、世界を理解するためや植民地を治めるためだったり、その時代や政治によって目的は様々。現代は衛星によって写真レベルで表面が詳らかになっているけど、反面地下鉄路線図や風刺地図なんかはこれからも出てくるんじゃないかなと。視点や考え方と時代背景がリンクするように読めたので、歴史が好きな人にもおすすめ。2019/10/01