河出新書<br> 自称詞〈僕〉の歴史

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河出新書
自称詞〈僕〉の歴史

  • 著者名:友田健太郎【著】
  • 価格 ¥1,078(本体¥980)
  • 河出書房新社(2023/09発売)
  • ポイント 9pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784309631677

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内容説明

なぜ〈僕〉という一人称は明治以降、急速に広がり、ほぼ男性だけに定着したのか。古代から現代までの〈僕〉の変遷を詳細に追い、現代の日本社会が抱える問題まで浮き彫りにする画期的な書。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

tsu55

19
自称詞「僕」を使うことで男性同士の仲間内ではフラットな関係を作れるということまでは、何となく感覚としてわかっていたけれど、ジェンダーニュートラルではないということについては、不覚にもこの本を読むまで気が付かなかった。まぁ僕は、女性が「ぼく」を使ってもいいと思うので、女性のなさんがどんどん「ぼく」を使ってくれれば、男女の間でもフラットな関係を結びやすくなるのではないか。……あのちゃん、がんばってください。2024/02/10

さとうしん

19
中国から伝来した自称詞「僕」が、江戸時代に儒学的な文脈で身分を超えた友愛の絆を示すものとして使われ、松陰ら幕末の志士が同志との連帯を示す自称詞として頻用したことで、明治以後学校教育などを通じて自称詞として普及していく。しかし学生、知識人などエリートが好んだということで軍隊などでは忌避された。また、使用が男性にほぼ限定されるというジェンダー上の限界もあった。それが現代に入り、新たな展開を迎えていく。歴史学、文学だけでなく社会学的な視点も取り入れた総合的な議論になっている点が評価できる。2023/08/04

kenitirokikuti

16
「友田健太郎」は著者の本名で、過去には「水牛健太郎」という筆名だったそうな(群像新人文学賞評論部門で優秀作)。著者はNY州立大バッファロー校に留学したので「水牛」なんだろけど、「唐牛(かろうじ)健太郎」もあるよな▲本書の元は修論で、吉田松陰の一人称「僕」を扱ったもの。「僕」は古文であり、和文でも記紀に例がある。しかし、現代日本語の「僕」に直接繋がるのは元禄の頃、儒者が唐代の師道論の引用からだそうな。自分より若く身分の低い者が師であるとき、ある意味で対等な関係になる、みたいなニュアンス。2025/02/23

Ryoichi Ito

10
日本語には自称詞,対称詞が非常に多い。著者はたまたま吉田松陰の手紙を読み,松蔭が〈僕〉を多用していることに気づいた。第3章,第4章は吉田松陰と弟子たちのの〈僕〉に関する著者の修士論文などが元になっている。〈僕〉は古事記にも使われている中国渡来の言葉だ。そこでは目下が目上に向かって使う言葉だった。その後,江戸期に儒教の普及とともに武士や知識階級でも使われるようになった。松蔭とその弟子たちが連帯意識を強調する言葉として〈僕〉を多用した。自称詞が人間関係を表し,また作り変える力を持つことを本書は強調する。 2023/09/04

samandabadra

6
日本語には自分や、相手を表す言葉がやたら多い。おそらくタブーがかかわっているのだろうとは言われるのだろうけど、そのうちの一つ「僕」という言葉に関して、本居宣長の使い方を中心的に発展させて研究した本。自称詞は日本語研究者や教育者にとっては普通だが、まずもって一人称という言葉と結びつかない人は多いだろうな。この言葉を作り、研究の先鞭をつけた鈴木孝夫氏の慧眼に改めて尊敬の念を覚える。2025/04/04

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