内容説明
近代哲学の最高峰が、手に取るようにわかる!
神の存在や世界の始まりを問うてきた西洋哲学の伝統をことごとく破壊し、新たな形で再生させてみせた史上最大の古典。
私たち人間は何を認識し得るのか? ア・プリオリとは何か? 人間に備わる悟性とは?
西洋哲学の最重要古典をこのうえなく平易に解説する、入門書の決定版。書下ろしとなるブックス特別章も収載!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
樋口佳之
49
神無き時代のモラル、カント道徳論がその哲学、認識論からどういう道筋で導かれるのかが学べたと思います。読みながら、その議論とガブリエル本の解く世界の不存在性とか、時代背景は全然違うけども、道徳論の説くテーゼが意外に孔子晩年の境地とそれ程変わらないとか思いました。かつての日本におけるカント受容、そういう部分もあったのではないのかなあ。2024/03/26
やまはるか
19
時間にはじまりがあるか?はじまりのない所からいくら時を刻んでも現在には至らない。ブロックを例に挙げて、最初の一個がなければ積み上げることは出来ないとする説明は面白いが、感覚的に時間はブロックのようではない。いずれにしても答のでない問、アンチノミーだという。カントの思考の限界を超えて、現代物理学は時間や空間の疑問を解き明かすところに来ている。すでに既知か?西先生は本の最後で「カントからフッサールへと至る主観の哲学は、哲学を皆のものにする可能性を拓いている」と、誰もが持っている主観の可能性を述べている。2024/02/29
最早
6
何年か前に『純粋理性批判』に挑戦してもう全く理解できなくて挫折したことがあったんだけど、この本はすごく分かりやすく、噛み砕いて説明してくれていて、ざっくりでもいいから内容を知りたい自分としてはありがたかった。経験としてあったモヤモヤが少し晴れた感じ。ヘーゲルやフッサールなどの思想も紹介していて、巻末には読書案内もあった。嬉しい。2023/12/07
鏡裕之
5
ヘーゲルは『精神現象学』を読破済み、カントも『純粋理性批判』は読んでる、カント関係の専門書も読んでる人間から見て、カントの入門書として最初に読む本としてはぴか一だと思う。カントを理解したい人は、まずこの本を2度3度繰り返して読むことから入ると、関門を超えられると思う。その後にちくま学芸文庫の『カント入門講義』に入るのが一番スムーズかな。2024/01/09
MrO
5
西さんの解説もすごいが、あたらめて驚嘆するカントの思索の幅と深さ。しかし、これだけ、誰もが納得することを言っておきながら、書かれたものはなんであんなに難しいのだろう。哲学的な思考は、きっと、誰もが身につけなければいけない作法だろうに、なぜ直接読むことができない、または極めてしづらい書かれ方をしているのだろう。2023/09/16