内容説明
介護・看護の現場から生まれた臨床哲学の名著
「生きている限り心臓が弾み続けいのちを支えるかのように、ケアの弾性は人と人の間にいのちをもたらす」。介護・看護の現場から生まれた臨床哲学の名著の増補版。九鬼周造『偶然性の問題』をテーマにした修士論文を収録。
【著者】
西川勝
1957年、大阪生まれ。専門は、看護と臨床哲学。元大阪大学コミュニケーションデザイン・センター特任教授。現在はNPOココペリ121理事。高校卒業後、精神科・透析治療・老人介護の現場で看護師や介護士として働く。一方で関西大学の2部で哲学を学び、後に大阪大学大学院文学研究科博士前期課程修了。現在は「認知症コミュニケーション」の研究を行いつつ、哲学カフェやダンスワークショップなどの活動にも取り組む。著書に『となりの認知症』(ぷねうま舎)、『「一人」のうらに』(サウダージ・ブックス)など。
目次
【病棟から】
Ⅰ 病の意味を見いだす
第1章 「信なき理解」から「ためらいの看護」へ
第2章 食と生きざま
第3章 生きる技術・生かす技術
【病棟から】
Ⅱ パッチングケアの方へ
第4章 臨床看護の現場から
第5章 ケアの弾性--認知症老人ケアの視点
【病棟から】
Ⅲ 人に寄り添うということ
第6章 臨床テツガク講座
第7章 隠すプライバシーで露わとなること
第8章 鬱の攻撃性
第9章 「認知症」の衝撃
あとがき
*
補遺 ケアの弾性
序説
第1章 ケアの偶然性
第2章 死活の契機
第3章 ケアの弾性
結論
増補版あとがき
初出一覧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
slowpass
8
より堅固になっていくシステムの代償として打ち捨てられていく存在がある。 「ケアをする側」が自身の無力を知ることなく人間を扱えると錯覚する傲慢。 打ち砕かれて、存在として横並びになるときに一緒に見上げる空。 善意や共感のような自我の温情主義によってではなく、共に突き放された存在としてあるとき、意味が支配する劇場が破綻するとき、明日なき存在としてただ人と人がいるのではないだろうかと思った。 エピソードの一つ一つが消えずに体に残っている。2023/01/09
こもれび読書録
2
本書内の「つぎはぎのケア」を鷲田清一さんが自著に引用していたものに出会って。より堅固になるシステムの代償として打ち捨てられる存在がある。「ケアする側」が自身の無力を知ることなく人間を扱えると錯覚する傲慢。 打ち砕かれ、存在として横並びになって一緒に見上げた空。善意や共感のような自我の温情主義によってではなく、共に突き放された存在としてあるとき、意味が支配する劇場が破綻するとき、明日なき存在として、ただ人と人がいるのではないだろうか。 エピソードの一つ一つが消えずに体に残っている。R.Y.2023/08/27
mako
1
看護の場の具体が描かれ、そこへの思索がとても刺激的だった。「理解」を前提にケアを考えると、「わからなさ」が生ずると「いっしょにいられなくなる」という話。しみる。「他者はわからない」という前提でこそ、一緒にいられる。2023/06/20
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