内容説明
命の終わり、その場所はどこがいいですか?
住み慣れた自宅で幸せな最期を迎えるために。
親子の絆を探す3年間の遠距離看取り体験記。
(目次)
第1章 看取りのはじまり
第2章 介護保険が打ち切られた
第3章 コロナ禍の葛藤
第4章 父と娘の終末期
第5章 臨終まで
第6章 看取り後の気づき
〈父は入院も施設入所も拒み、住み慣れた家でひとり暮らしをつづけた。
私は終末期の父に付き添い、介護し、
死にゆく傍らでその一部始終を見ていた。(中略)
あくまでも個人的な体験ながら、父と私に降りかかったさまざまな出来事を
ありのままに綴りたい。父と同じように住み慣れた家で最期を迎えたい人、
家族を在宅で看取りたいと思う人たちに「家で死ぬ」というリアルを伝え、
真に納得した最期が訪れるよう、本書が一助となることを願っている〉
(「はじめに」より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
遥かなる想い
108
住み慣れた自宅で 最期を迎えた父を看取った物語である。「家で死ぬ」というリアルが 伝わる。携帯も持たず、娘の言うことも聞かない頑固な父の姿は見慣れた光景なのだが… どう老いて、どう死ぬのかを改めて 考えさせる、そんな作品だった。2024/07/17
ゆみねこ
83
同居している実母の介護問題に直面しているタイミングでこの本を読めたことは良かった。来月連休明け早々に介護認定のために役所の担当者が来宅される。私の場合、同性の母を看ることになるけれど、著者の場合はお父さま。色々と大変だったと思う。ピンピンコロリ、コロリってそんなに簡単にいかないっていう現実を突きつけられた。2024/04/26
クリママ
48
親を既に見送っているので、自分のこととして読んだ。著者はジャーナリストで、読みやすく、迫力があった。一人暮らしの87歳の父親が大腿部骨折、遠距離介護が始まる。介護認定の厳しさ、透析を拒む父親への医者の冷たさ… ケアマネジャーは有能で頼りになるが、ヘルパーは要望通りには来られない。自分で出来る、家で死にたいという親の思いを最優先にやっと見つけた訪問医による自宅介護。入院していれば、娘がこんなに苦労しなかったのではないか。透析を受けていたならもっと楽に逝くことができたのではないか。「積極的な治療を拒み、⇒2024/09/27
TATA
45
死ぬことというのはお金のかかるもの。さらにいろんな人のお世話にならないといけないもの。ひとりでさくっとピンピンコロリなんてかなりのレアケース。厳しく哀しい現実を見てどうすればいいのという解は見当たらず。ただ一緒に読んだ家内とたくさん話した。そのきっかけになったことが一番価値のあることだったかも。読友さんたちのレビューも大変参考になりました。2024/05/14
moonlight
40
父親を自宅で看取った娘が、ジャーナリストの視点から書いたドキュメンタリー。多くの学びがあり、メモを取っていたらその量が膨大になってしまった。“住み慣れた場所で家族や親しい人に囲まれて老後を過ごし、最期は自宅で枯れるように眠るように迎える”ことの現実味の無さがよくわかる。国が始めた介護保険制度は社会全体で介護を支える目的だったはずなのに、今や必要な人に必要な支援が届かないばかりか利用者の負担増へ舵を切っているそう。団塊の世代が全て後期高齢者になる2025年問題という懸念もあるそう。どうなっていくのだろうか。2024/11/27