内容説明
民主主義に不可欠といわれるジャーナリズム。だがその役割は見えづらい。そこで本書は報道記者の仕事が描かれた有名な映画を糸口として、報道職が果たしている機能や意義を多角的に検討していく。より良い社会にするために、送り手は、受け手は、どうしたら良いのか。読者とともに、ジャーナリズムのこれからについて考える一冊。
目次
はじめに──現場で働く記者たちの姿にふれる
本書のねらいと使い方
編著者・執筆者紹介
I 小さな声を拾い上げる
Theme 1 社会問題の可視化【スポットライト 世紀のスクープ】[別府三奈子]
Theme 2 弱い声を束ねる【シー・セッド その名を暴け】[飯田裕美子]
II 隠された事を伝える
Theme 3 知る権利に奉仕する【ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書】[別府三奈子]
Theme 4 社会に警鐘を鳴らす【チャイナ・シンドローム】[松下俊也]
Theme 5 権力の暴走を告発する【シチズンフォー スノーデンの暴露】[佐幸信介]
III 災害と事件事故
Theme 6 地域情報の生命線【神戸新聞の7日間 阪神・淡路大震災から15年~命と向き合った被災記者たちの闘い~】[西 栄一]
Theme 7 命と向き合う【クライマーズ・ハイ】[飯田裕美子]
IV 見方を変える
Theme 8 多角的な視点の提供【FAKE】[水野剛也]
Theme 9 判断材料を共有する【アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち】[松原妙華]
Theme 10 声なき声の記録【ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳】[別府三奈子]
V 歪まない社会のために
Theme 11 情報操作を止める【タクシー運転手 約束は海を越えて】[ファン・ギュンミン]
Theme 12 未来への教訓【日本人はなぜ戦争へと向かったのか】[水野剛也]
VI 現場からのメッセージ ジャーナリストの仕事の意味[大門小百合]
column
1 取材のリアル[飯田裕美子]
2 基本的人権とジャーナリズム[別府三奈子]
3 調査報道の実際──「ペンタゴン文書」と「パナマ文書」を比べてみよう[澤 康臣]
4 ジャーナリズムの記録とアーカイブ[松下峻也]
5 内部告発[松原妙華]
6 もう一つのジャーナリズムとメディア──地域紙と読者の重層性[佐幸信介]
7 記者の良心と責任[飯田裕美子]
8 BPO 放送界のご意見番は資料の宝庫[水野剛也]
9 トラウマと取材[河原理子]
10 ジャーナリズムの倫理[畑仲哲雄]
11 プロパガンダとジャーナリズム[津田正太郎]
12 歴史が語る、100年地続きの今[土屋礼子]
13 紛争・戦争取材の現場から[綿井健陽]
付録 ジャーナリズムのしくみをもっと知ろう
〔1〕ジャーナリズムの下部構造を観察する[別府三奈子]
〔2〕自習の道具箱[松下俊也]
おわりに──専門知と実践知の対話から
索 引