内容説明
〈女性作家たちの生涯から読み解く〉
少女だけでなく、大人の読者も魅了してやまない三人の少女小説作家──オルコット、バーネット、モンゴメリ。
栄光に包まれた彼女たちの道のりは、決して平坦なものではなかった。
彼女たちが闘ったジェンダーの壁を、その作品と生涯から読み解く。
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【目次】
■はじめに
■第1章 『若草物語』
反抗の叫び──ルイザ・メイ・オルコット
■第2章 『小公子』『小公女』から『秘密の花園』へ
野ブドウを摘んだ少女──フランシス・ホジソン・バーネット
■第3章 「アン」と「エミリー」
光と闇のはざまで──ルーシー・モード・モンゴメリ
■註
■おわりに
■作家たちが生きた時代
■略年表
■主な参考図書
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
はるき
20
女性の権利が今より遥かに制限された時代に名作を生み出した3人の女性作家。彼女たちの作品は眩く輝き続けますが、生身の人生はかなり厳しめ…。経済的自立を確立し、家族を助け、社会改革にも目を向ける。三者三様ですが、バイタリティーに頭が下がります。2023/07/19
タピオカ
20
『若草物語』オルコット『秘密の花園』バーネット『赤毛のアン』モンゴメリ、3人の女性作者の足跡をたどり、時代背景を知ることで作品に込められた思いを探るという内容。共通していたのは、政治への関心が強く、経済的自立や家族を支えるために書いていたこと。赤毛のアンとその後のシリーズとは作者の状況が変わったことを知りなるほどと思った。2023/06/03
Miyoshi Hirotaka
14
我国の児童文学は、名著や古典、低識字率時代の啓蒙本も含む豊富な内容。一方、少女文学という独立ジャンルが誤解の元になった。女性作家が女性を主役にしたものが女性読者を想定したとは限らないからだ。昨今のジェンダーの枠組みを当てはめるとさらに歪む。作者の人生と登場人物を重ね合わせて女性対社会、女対男の対立構図を描こうとしているが、今の価値観で過去を判断しているのと同じ。19世紀は戦争や疫病で死は今より身近にあり、親兄弟の早逝、それによる孤児の発生は珍しくなかった。愛ある家族への渇望として素直に読むべきだと思う。2025/10/01
多津子
10
若草物語のオルコット・小公子のバーネット・赤毛のアンのモンゴメリ。女性の仕事が少ない時代に稼ぐために書き始めたが、始めは男性名で作品を発表したり、男性作家と待遇の差がある中どのように成功していったのか。少女に向けての物語には彼女たちの歴史や価値観や世相や当時の常識が織り込まれている。それをジェンダーという観点から分析した本。2024/07/21
紅
8
家庭小説とも言われる『赤毛のアン』『若草物語』『小公女』等を取り上げて、ジェンダーについて論じた本。作者本人の人生と物語の内容の比較が面白かった。現代よりもっと(特に女にとっての)「結婚」の比重が高かった時代を生きた3人のそれぞれの人生。2023/05/25
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