内容説明
中東やアフリカで長年過ごしてきた著者が、旅の経験や、古今東西のさまざまな文化や文学作品などの例をとおして、人と人との「あいだ」、また自分自身の中の「あいだ」を見つめ、そこに風をとおし、互いに自由になれる関係をつむぐ道を考える。迷いや悩みの多い10代やすべての方たちにとって、「私」も他者も大切に、軽やかに生きていくレッスンとなる一冊。(装画:nakaban)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
けんとまん1007
60
人と人の繋がりが強くなったようでいて、実は、薄くなってきているのではないだろうか。表面的な繋がりが最優先され、数だけが追い求められる。結果として、少しのことで切れてしまう。そうではなく、緩めることの意義が説かれている。ふと思い出したのが、ウィーク・タイズ。それが実は、深いつながりになりえるのだと思う。2023/11/13
joyjoy
22
つながりを断ち切るのではなく、ゆるめる。ひととの間に、自分自身のなかに、風をとおす。心に留めておきたい言葉が多くあり、付箋だらけに。「レコードと恋愛」の「分からないけれど、まずは信頼して動いてみる」。「カメと、期待しないコミュニケーション」の「「期待しない」とは、あきらめではなく、むしろ信頼だ」。など、「信頼」という言葉が特に印象に残った。今の自分に必要なことなのかも。 「たまにはダチョウになってみる」のもいいな、と思う。巻末の作品ガイドもよかった。とりあえず本棚から「真理先生」を出してくる。2024/01/16
あまね
14
良書です。大切なことを本当に分かりやすくスッキリと伝えられています。沢山のお若い方に読んで頂きたい本ですが、私の世代でも、大先輩方の世代でもハッとすることが沢山あると思います。『あいだで考える』シリーズ、たくさん刊行される予定のようです。追いかけてみようかと思っています。2023/09/29
くるり
13
朝井リョウの『正欲』に出てくる人物たちに読んで欲しいな〜と読後に思った。特に八重子たち。関係を断絶するんじゃなくて「ゆるめる」。五月病から六月病(?)になったり、社会に疲れすぎて大学も休みがちになってた5月にきちんと読み込んでおきたかった。物語が呪いになるのくだりはとても興味深かった。確かに私も、浪人を経験してからこの「人よりも頑張らなきゃいけない」という気持ちや下克上群像劇に心惹かれすぎてしんどくなった経験がある。関係性も、気持ちも、少しだけでもゆるめて風をとおす。少し生きやすくなった。2024/06/06
nchtakayama
10
われわれ人類の宿命!それは人間関係の悩み!いつまでやってる!という創造主のツッコミがそろそろ聞こえてきそうなものだが、それに風を通してくれるような、ゆるくて深くてやさしい本。シリーズ創刊の文章もいい。参考文献の紹介も丁寧だ。著者の田中真知さんが風のような人なのだろう。右のような視点を持ちながら書かれた文章は、風になる。「攻撃的な言葉だけが『呪い』になるわけではない。→2025/09/14




