文春e-book<br> マリエ

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文春e-book
マリエ

  • 著者名:千早茜【著】
  • 価格 ¥1,800(本体¥1,637)
  • 文藝春秋(2023/08発売)
  • 輝く夏空!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~7/13),ウルトラ電読フェア ポイント増量(~7/24)
  • ポイント 640pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784163917405

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内容説明

私の幸も不幸も、私が決める。そう、決めた
40歳目前に離婚した桐原まりえは、寂しさよりも清々しさを感じていた。新直木賞作家が描く、おとなの女性の幸福と結婚を巡る物語。

『マリエ』は、『しろがねの葉』で第168回直木賞を受賞されたのが記憶に新しい千早茜さんの最新長篇です。
物語は、主人公の「桐原まりえ」が40歳を目前に離婚したところから始まります。離婚理由には納得がいかないものの、もう誰にも属していない、という軽やかさを感じているまりえ。すべて自分の自由にできる生活が一番大事でそれを危うくする欲望、たとえば恋愛などに呑み込まれたくはない。でも、なにか不安で、なにか取りこぼしている気も……。
ひょんなことで懐いてきた由井君のことは好ましいのだが、折に触れ、7つの歳の差を感じるばかり。そんな折、些細なきっかけと少しの興味から、まりえは結婚相談所に登録します。そこで彼女は、切実な「現実」や結婚に対する思いもよらない価値観を次々と突きつけられるのです。

千早さんは本作を、「生き方」の小説、と話されます。その言葉通り、これまでの千早作品のなかでもっとも著者に近いと言える主人公が、等身大で挑む日常の「冒険」には抜群のリアリティがあります。無防備に新しいことに飛び込んでいける年齢を過ぎて、仕事も落ち着き、結婚生活もリセットされ、コロナ禍に価値観を揺さぶられ……そんな「今」の生き方を問う意欲作です。
考え続けるまりえの軌跡を共に歩めば、きっと、「自分が今後の人生に求める幸せ」の輪郭が見えてくることでしょう。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

609
しみじみとした恋愛小説。最後の一文が小説としての格を上げている。萩尾望都の『A-A'』のエンディングに似ていると、ふと思う。主人公のマリエ(小説の視点人物でもある)は40歳を前にした女性。仕事の上では有能で、稼ぎも並み以上であるため、暮らしには全く困らない。そんな彼女の離婚後の様々な葛藤と揺れ動きを千早茜は見事なまでにリアルに描き出してゆく。葛藤の中心は自分の将来と、どう扱っていいのか自分でもわからない愛の行方だが、そこには現代の社会に依然として色濃く残る女性であることの理不尽さが横たわっている。2024/01/19

starbro

424
千早 茜は、新作中心に読んでいる作家です。 離婚直後の婚活小説を初めて読みました。 世の中に何度も結婚して離婚を繰り返す人が存在していますが、学習機能はないのでしょうか(笑) S●Xと料理は一緒という考えを初めて知りました(驚) https://books.bunshun.jp/articles/-/82572023/09/15

のぶ

254
主人公の桐原まりえは離婚を経験し、清々しく生きる40歳の女性。そんな生活の中、ひょんなことをきっかけに自身の生活に寂しさを感じてしまう。そんな悩み多き状況を妙にクールに綴った作品集だった。内容だが、昨今取り沙汰される「女性の生き方」で、どれを否定するわけでもなく、どれにも共感しつつ自分の在り方を探しているのが好感を持てた。恋人を持ちながら、別に結婚相手を模索するまりえ。自分の幸せだから自分なりの生き方を貫く姿は、恋愛と結婚は別物だと思わせる千早さんのひとつの哲学をもの語っている気がした。2023/09/08

Karl Heintz Schneider

211
「恋愛がしたいから別れよう」夫から突然そう切り出され、離婚したアラフォーのマリエ。7年ぶりの一人での生活は思ったより悪くなくて友達に誘われて結婚相談所に入会することに。そんな折、7歳年下の由井君と付き合うことになるが、しばらくして結婚相談所のことがバレてしまい・・・。少し前に読んだ同作者の「しろがねの葉」が難解だったのに比べて、本書はとても読みやすく、遅読の私でもほぼ一日で読了。「さんかく」「ひきなみ」そして「マリエ」。シンプルな仮名のみのタイトルの作品が私には合っているようだ。2023/12/21

ネギっ子gen

185
【私の幸も不幸も、私が決める。そう、決めた】コロナ禍の下、40歳を前に離婚した桐原まりえの、おとなの女性の恋と結婚をめぐる物語。冒頭の<吐いた息の白さに目を奪われた>の記述から、一気に小説世界に引き込まれた。高村光太郎の『冬が来た』を想起しながら――。<そう、私は私で生きていかなくてはいけない。森崎もそうだ。もともとそうだったのだ。むしろ、森崎といたときのほうが、私は不安定で弱かった気すらする。じゃあ、なんのために一緒になったのか。思い出せなかった。思考が闇に溶けていく。もう、考えなくてもいいことだ>。⇒2023/10/04

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