内容説明
絶対的な人気を誇るビジュアル系バンドのリーダー・ゼノ。漆黒の堕天使――という設定の彼は、解散ライブのラストで異世界に召喚されてしまう。すると、設定でしかなかった堕天使の能力が現実のモノとなって……!?
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
わたー
21
★★★★☆音楽で世界を救わんと本気で考え、ヴィジュアル系バンドのヴォーカルとして一世を風靡した主人公ゼノ。バンドの解散ライブのステージの最中に異世界へ召喚された彼は、異世界すらも自らの音楽で救わんと、異世界の王を決める競争に身を投じることになる異世界召喚ファンタジー。導入こそキャッチーであったが内容は硬め。庶子であることを理由に蔑まれてきたせいで復讐半分で自分を呼んだ少女に対し、何のために王を目指すのか、王たる資質を問うくだりなんかは、最強系主人公モノではまず見ない描写だったので感心した。2023/08/22
真白優樹
9
解散ライブの日に異世界に召喚された、ヴィジュアル系バンドのボーカルの青年が、異世界で救世主となる物語。―――心を揺らす歌が響く時、異世界がその世界に魅了される。 ヴィジュアル系への愛情はこれでもかと詰め込まれた物語であり、音楽で世界を救いたいと言う思いにひたむきに精進する青年が、異世界でムーヴメントを巻き起こす、爽やかな面白さのある物語である。 その救世は異世界を救えるのか。その歌声と、その威容にいつか異世界の人々が残らず狂信者となって跪く時が来るのだろうか。 次巻も勿論楽しみである。2023/08/19
シノミヤユウ
7
V系ヴォーカリスト・ゼノの気障な言動は、才能と経験の賜物。初見はシュールさに笑いましたが、彼のパートナーとなる少女・リーゼの世界を開く思慮深さと王の資質を見定める眼力が徐々に透け、却って超越者然としているのがカッコいい! そんなゼノが風穴を開けるのは、次の王の座を巡ってリーゼたちきょうだいが相争う儀式。欲が澱み、次王としての理想など見えてこない争いを、己の言葉と音楽で華麗に打破していく爽快感に息を呑む。リーゼが己の生き方を描いていく成長もアツい! 人々を導く変革の序曲、その鮮烈な力強さに圧倒される物語。2023/11/01
リク@ぼっち党員
7
歌は言語の壁を越え、次元すらも超えて世界を救う! 伝説となるほどの人気を誇るV系バンドのラストライブのフィナーレで異世界転移。これ現代でどれだけ神格化されてるか気になるな…。異世界の勇者よりもよっぽどすごい扱いされてそう。見た目だけ繕った訳じゃなく心底からのV系なので紛れもない変人ではある。けれど心根の善良さ、歌に込めた思いの真摯さも紛れもないので、一本筋が通ったカッコよさがあった。七海ほどの狂信者が産まれるのも納得。異世界でもその曲で、歌で救いを与えられるのか。2023/08/21
菊地
4
読む前は「堕天使設定」を演技しているプライベートとアーティストでキャラが違う主人公だと思っていたら、本気で音楽で世界を救おうとしている志の高い音楽バカだった。 「堕天使」もその志の高さの延長線上にあり、異世界への転移も、世界救済のこともすんなり受け入れるメンタリティが強かった。 なんかこのキャラなら本気で世界を救ってしまうんだろうな、という説得力を感じさせる浮世離れした主人公が面白かったですね。2023/08/23