内容説明
暴動が起きた日から、世界は「あたしたち」と「あいつら」のふたつに分かれた――
1992 年、アメリカ・ロサンゼルス。私立高校での生活も終わりにさしかかり、アシュリーと友人たちは、学校よりもビーチで過ごす時間が長くなっていた。 4 月のある日の午後、ロドニー・キングという黒人男性を半殺しにした4人の警察官に無罪判決が下され、すべてが一瞬にして変わってしまう。激しい暴動・抗議活動が起き、生まれ育ったLA の街が燃え広がるなか、ただの女の子だったはずのアシュリーは「黒人の子」になった。白人の幼なじみとの不協和音、家族のなかの対立、自分への軽蔑……。
ブラック・ライヴズ・マター(BLM)の源流となったロサンゼルス暴動という、じっさいの歴史的事件に着想を得た長編小説。NYタイムズ・ベストセラー選出、ウィリアム・C・モリス賞ファイナリスト。
宇垣美里さん推薦!
「自分自身を知るために、関係ないけど関係なくなんかない、貧富・性別・自分のルーツ。30年前を舞台にしながら、今と何ら変わらない問題を前に、等身大の少女の成長が眩しい」
「ときどき、女の子でいることはきついし、黒人でいることもきつい。その両方だと、二重の負担がかかってるのに、不平は言わせてもらえないようなものだ。自分の在り方について憶えておくべきことが多すぎる――」(本文より)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たまきら
43
白人が多い「良い学校」に通う裕福なアフリカ系女子が主人公という辺りで「The hate u give」がちらついてしまうけれど、こちらは自分がアメリカにいた92年が舞台なので当時の音楽や出来事を思い出しました。私は東海岸の小さな町で大学生をしていて、毎日が大学の課題でいっぱいいっぱいだった。それでもロサンゼルスの大暴動は覚えている。あの堪忍袋が切れたような恐ろしい破壊のエネルギーは、いま世界中で膨れ上がっているけれど、暴力は結局、虚しい。この登場人物で21世紀まで追っていったら面白いんじゃないかなあ…。2023/11/21
arnie ozawa
0
めちゃ良かった。ロドニー・キング事件とLA暴動を背景に黒人ティーンエイジャーガールの人生の大きな変化が描かれる。裕福な黒人家庭(ナニーがいるほどの)のアシュリーは白人の幼なじみと高校生活最後の時をエンジョイしているが… 読んでて娘のエレメンタリーの時の友人のマリアを思い出す。あの頃、米国南部州の、全米でも有数の富裕地区に住んでいてマリアは黒人で、両親は州一優秀かつ授業料の高い大学の医学部の教授だった。裕福ではあるけれど少し居心地は悪そうでそれで数少ないアジア人のウチの娘とも仲良くなったのかもしれない。2023/09/30