内容説明
ブギの女王&スウィングの申し子--音楽史を塗り変えたコンビのすべてがわかる
ポピュラー音楽史研究のトップランナーが、直筆楽譜や公演記録等を基に、笠置・服部コンビが近代芸能史に遺した業績を書き尽くす。録音音源やセールス中心の音楽批評通念、戦前と戦後を分断したものと捉える史観、西洋音楽を称揚する偏重主義に異議を唱え、ふたりが生み出した数々の「モダン音曲」とその実演の価値を検証する。心ズキズキ踊りだす、連続テレビ小説「ブギウギ」関連書の決定版。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
67
戦後すぐに「ブギウギ」で一世を風靡した服部・笠置コンビを題材に、日本の大衆音楽の再評価を試みたもの。その音楽性のルーツに、大阪ならではの庶民性、いわゆる「ノリ」を重視する演芸的な側面と、独特のジャズ需要があったことを押えているのがまず面白い。多くの評論の引用に加え、服部の手書き楽譜の分析もあり、著者の柔軟で確かな音楽的視点のフィルタを通して論じられる本書は、極めて刺激的で大いに興味をそそられた(思わず両者の音源を買ってしまった)。アメリカ大衆音楽、それも黒人音楽にもかなり造詣が深く、頷くことも多かった。2023/09/17
つちのこ
40
朝ドラを観ているので、笠置シズ子と服部良一が出会った背景を含め、気になるこれからの展開が掴めて良かった。稀有な才能を持った二人の出会いが大阪道頓堀から生まれ、戦前、戦後を代表する楽曲を量産したことは偶然ではなく必然であったようだ。本作を読みながら笠置の代表曲である「ラッパと娘」「東京ブギウギ」「買物ブギ」をYouTubeで観たが、どれも圧巻のパフォーマンス。物心ついた頃、タレントとして出ていた笠置をリアルタイムで見ていたが、大阪出身の母とダブってしまい、いつも親近感を抱いていたことを思い出した。2023/11/23
ホークス
32
2023年刊。笠置シヅ子と服部良一の関係、人生と音楽を探究する。大阪贔屓がすぎるけどそのぶん痛快。やや難しめ。1940年頃、笠置は「彼女の声量と声質には、一驚に値するタフネスがある」「我国第一のスウィンギーなショウ歌手」と賞され、著者は「直接大衆と太刀打ちする芸術」の体現者と見る。笠置は、工業的を是とする新たなレコード時代への変わり目に、滅びゆく実演時代が産んだ鬼子のようだ。「音曲」は音楽となり、作家と演者は企業に囲われ、戦争が迫っていた。時代は変わりゆくが、自分の好きを極めようとする者はいつも輝いている2025/02/14
エドワード
32
朝ドラ「ブギウギ」始まる!笠置シズ子と服部良一、奥の深さにわてほんまによう言わんわ!戦前はスウィングの女王、戦後はブギの女王、改めて笠置さんの偉大さに敬服する。著者の4つの挑戦、①敗戦は文化的断絶ではない②文化は東京中心ではない③日本近代音楽は洋楽受容史ではない④大衆音楽はレコード中心ではない―おお、よくわかった!特に④が印象的だ。音楽は聴くだけじゃない。古代以来、舞台を観ること、踊ることと一体だった。寄席や芝居小屋や銭湯!等で音楽が庶民と共にあった、大阪生まれの二人にこそ生み出せた音楽。素晴らしい。2023/10/11
yyrn
31
朝ドラを見なければ手に取らなかった本。これを読むと笠置シヅ子と服部良一の生き方がドラマの中でかなり忠実に再現されていると思うが、二人の人生ドラマの紹介部分は少なく、二人を追うことで昭和の音楽史を紐解いていこうとする本で、戦前と戦後で大きく変わっていく価値観の中で、巧みに時代をつかみ「スウィングの女王」から「ブギの女王」への転換の経緯が、日本の音楽史全体の流れとともに詳しく語られていく。当然、服部がいなければ笠置の輝きも大きく違ったものになっただろうが、⇒2024/01/07
-
- 電子書籍
- 週刊ビッグコミックスピリッツ 2025…
-
- 電子書籍
- 獣人領主の偏愛ペット~今世では俺が飼い…
-
- 電子書籍
- 生残賭博(全年齢版)【タテヨミ】 36…
-
- 電子書籍
- Fate/Grand Order -m…
-
- 電子書籍
- 広東語基本単語2000 - 聴いて,話…