内容説明
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
独立前のパキスタンにおいて最大級の規模を誇ったムスリムの結社、イスラーム擁護協会。彼らが行った模範的ムスリム女性としての教育は、図らずも女性の個人としての自覚を育て、政治運動への参加を促していった。本書では、機関誌などの1次資料を丹念に紐解き、擁護協会の活動により発展していった「近代ムスリム市民社会」が、パキスタン独立の原動力の1つとなったことを実証する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
BLACK無糖好き
16
英領インドのムスリムについての研究は、従来政治的な面に偏ってきた傾向があるという。本書は英領インド北西部のパンジャーブで最大級のムスリム結社であったイスラーム擁護協会を取り上げ、ムスリム主体の近代市民社会の形成のあり様を検証。とりわけ中心となるのは、擁護協会の女性問題への関わり。女性の隔離規範であるパルダの扱い、キリスト教宣教師への対抗、女子カレッジの開設など。ムスリム女子教育の先駆者としての活動を描出している。◇パキスタン市民社会の実態の批判的な検証も、本書の裏のテーマであろうか。2024/04/04