内容説明
“これから起こる殺人”を通報してきた男に翻弄され、不可能犯罪の謎に挑む刑事を描いた「死の警告」。『シカゴ・ブルース』で忘れがたい印象を残した青年探偵エドとアムおじが活躍する「女が男を殺すとき」「消えた役者」。検死局で起きた不可解な死体損壊事件「球形の食屍鬼(グール)」。稼ぎの10パーセントと引き換えに、ある男に自分のマネジメントを任せた俳優志望の青年の数奇な物語「死の10パーセント」など、本邦初訳3作を含む全13編。謎解きミステリ、〈奇妙な味〉等、『短編ミステリの二百年』の編者が選りすぐった多彩な名作短編のフルコース!/【目次】序文――フレッド・ブラウンを思い起こして=ウィリアム・F・ノーラン/5セントのお月さま/へま/女が男を殺すとき/消えた役者/どうしてなんだベニー、いったいどうして/球形の食屍鬼(グール)/フルートと短機関銃のための組曲/死の警告/愛しのラム/殺しのプレミアショー/殺意のジャズソング/死の10パーセント/最終列車/編者解説=小森収
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
111
ブラウンの推理短篇中心のアンソロジーの3巻目です。洋食のフルコースになぞられて作品が並べられています。フルコースとはいうもの比較的軽いものが多いように感じます。エド・ハンターものが2作収められていて楽しめます。時代が変わってはいるとはいうものの読んでいてあまり古く感じることもなくいまでも鑑賞に耐える気がしました。2025/04/19
yukaring
78
フレッド・ブラウン選りすぐりの短編集。気の利いた結末が秀逸なショートショート『5セントのお月さま』「愛しのラム」探偵のエドと叔父のアムに依頼される一風変わった事件『女が男を殺す時』『消えた役者』検視局で起こる不気味で不可解な死体破損事件『球形の食屍鬼』などどれをとっても楽しめる名作。一番のお気に入りは表題作『死の10パーセント』売れない俳優志望の青年がある男と知り合い「彼が手に入れる全てに対し」10パーセントの取り分でマネジメントを任せる。そして彼が辿る数奇な運命。ブラックでシュールなオチのつけ方が見事。2023/11/10
空猫
39
フレドリック.ブラウンの初邦訳作品を含む新刊。お気に入りはO・ヘンリばりの『5セントのお月さま』。狂気に満ちた『愛しのラム』。契約は慎重に『死の10%』など。推理モノは本格と言うより人間ドラマの方が主であろう。叔父と甥の探偵シリーズはキャラにもう一捻りほしいか。どんでん返しは勿論の事、いつものホラーや皮肉たっぷりの話以外に探偵が登場する謎解きミステリまで手掛けていたとは!!まだまだ未読作品があるようで楽しみが増えたというもの。2023/11/21
geshi
29
短編の名手のフルコース。『5セントのお月さま』犯罪とちょっとした人生の変化。フレドリック・ブラウンらしさが詰まっている。『球形の食屍鬼』ホラーテイストなミステリの雰囲気作りをやっていたのにネタはバカミス。短編だから許せるけど。『フルートと短機関銃のための組曲』ネタだけじゃなく探偵役の造形までちゃんと作られている。『愛しのラム』異常とも思える語り手の執着がラスト一行で納得できる構成の巧さ。『死の10パーセント』定番の型ではあるけれど恐怖の理由をその枠自体にもっていくか。2024/01/03
ニミッツクラス
26
23年(令和5年)の税抜1260円の文庫緑背初版。同じ構図で図柄違いの3冊が出ている。先達2冊は「真っ白な嘘」、「不吉なことは何も」で、これは各々「まっ白な嘘」、「復讐の女神」の新訳改題版となり、底本は著者の短編集。対して本書は小森氏編の本邦オリジナル短編集で、初訳3編と雑誌掲載分から編んだ。2023年時点で初訳が3編もある事に驚き、巻頭作は商業誌デビュー作でもある由。「女が男を…」「消えた役者」は“ハンター&ハンター探偵事務所”物で安定感がある。ほか、伸ばせば一冊になるような贅沢な話も多い。★★★★☆☆2025/10/13
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- 和書
- 続 信州のこわーい話




