内容説明
グロテスクな生(いき)人形の作り手として、賛辞を集める常世三姉妹。彼女たちの人形にはまるで人の魂が宿っているかのような迫力があり、世界中の好事家を魅了していたが、一方でその人形作りについて黒い噂が囁かれていた。三姉妹の新作発表の場に立ち会うことになったフリーライター・麻生真哉は、六歳の娘とともに群馬の山中にある館に向かう。ところが新作人形の発表の夜、三姉妹の長女が殺害される。現場はほぼ密室。館も孤立状態となり、残された姉妹は、館中を捜索し始めるが――。ある魔術を受け継ぐ一族を巡る驚愕の事件を巧みに描いた、鮎川賞作家の最新作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オフィーリア
77
舘×密室×魔術 魔術が現実に存在する世界観でのダークで狂ったミステリー。グロテスクな生人形を制作する人気三姉妹、その新作発表の夜姉妹の1人が殺害され傍らには死体と同じように損壊された人形が…といういかにもコテコテの本格もの。魔術というオカルトが存在しストーリーにもゴリゴリ関わってくるのである意味特集設定ミステリーとも言えるのでしょうか。この作品の一番の見どころは魔術に関わった人間達の狂気だと思います。魔術の存在を中心に誰も彼もが狂ってるおぞましさが堪らない読後感。2023/10/29
aquamarine
70
グロテスクな生人形の作り手で賛辞を集める常世三姉妹の新作発表の場に立ち会うために、山中の館に集められた関係者。発表の夜、三姉妹の長女が殺害され、館も孤立状態になる。視点がくるくる変わるのもあって、誰に同調して読むのが正解か見極めきれないでいたが、中盤事情が分かってくると、想像と違う中身が現れたりして、どこに同情しどこに寄り添ってどこを敵対視すればいいのか、気持ちが迷子状態に。最終的に特殊設定を綺麗に使ったミステリだったが、私にはなんだか座りが悪い。…いや、この状況では誰にも同調できなくて正解か。2023/11/16
Bugsy Malone
62
とっても印象深かった「名探偵の証明」の著者の長編ミステリ。魔術を絡めた特異な設定と容赦の無い人格描写。蜜柑花子シリーズとは全く違う方向性に愕然としつつ、終焉の纏まりに舌を巻く。次作はいったいどの様な小説を産み出してくれるのか、期待が否応なく高まってしまう。2024/05/06
雪紫
49
高い評価と黒い噂を持つ人形作家の三姉妹が住む不気味な館で姉妹が人形とともに殺される。序盤から東野圭吾の「秘密」を匂わせながらも、事件よりも人物がグロテスクでエキセントリック。むしろ事件が霞むレベルで「それ以外」がやばい・・・。視点が結構変わるのに凄い説得力ある。過ぎたものを持ってしまったばかりの末路は祝福か、目を背けるかは、貴方次第。2025/01/25
夏
35
グロテスクな生人形の作り手として注目を集めている常世三姉妹。フリーライターの麻生真哉は、娘の真里と共に常世三姉妹の館へ赴くのだが、そこで常世三姉妹の長女が何者かによって殺害されてしまう。その場はクローズドサークルとなり、真哉たちは犯人を探し始める。大前提として常世の血を持つ者は魔女の血筋であるため、これは普通のミステリーではない。そのため、あまり盛り上がらず終わってしまった印象。最初から最後までグロかったのだけれど、最初のグロさと最後のグロさでは意味が違くて、そういう方向にももっていけるのかと少し感心。2024/06/18
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