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内容説明
ウクライナ戦争開始の1ヵ月半後、ヒトラーの独ソ戦を描いた小説『同志少女よ、敵を撃て』が本屋大賞を受賞し、ベストセラーとなった。我々は戦争を嫌悪しながら、『宇宙戦艦ヤマト』『風の谷のナウシカ』『進撃の巨人』『鬼滅の刃』などのマンガ・アニメから小説『永遠の0』まで、悲惨な戦争を享受している。ナチスドイツ、原爆、プーチンの戦争、安倍元首相暗殺事件など現実の暴力・戦争を多様な文芸作品を通して分析し、読み解いていく。批評界の俊英が放つ、新時代の「戦争」論!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
パトラッシュ
108
太平洋戦争で敗れた日本は対米報復より経済的な豊かさを選んだが、戦死者の無念や戦争に突き進んだ反省はなかったことにされた。そんな国で生まれた戦争を主題とする小説や漫画、アニメは、何が正しいのかという正義の観念が曖昧なまま繁栄だけを享受してきた戦後社会の影響で、戦いの果てに復讐心の昇華を見い出す物語に集約されていった。しかし自ら正義を捨てた日本は対アジア外交でも正義を棄却し、被害を受けたアジア諸国の復讐心を軽視した。だからこそ日本も正義を打ち立てるべきと著者は主張するが、民主主義下の選挙では無視されるだろう。2024/01/27
どさんこ
3
日本人は、原爆を投下したアメリカに対して、復讐ではなく、経済的利益を選択した。2023/12/03
スコットレック
3
超メガヒット作品の鬼滅の刃と進撃の巨人。この二つの最終話のネタバレがある(自分は本書でこの2作品の結末を知った。どちらも途中までしか読んでなかったので)ので注意?本書の中盤、安倍元総理の銃撃事件の件で、隠しきれないくらい文章の熱が上がるのは読んでいて引いた部分。それ以降、著者の思想が全面に出てくる部分は読んでいて辛かった。"粘り強い実践"を試みている間にあっという間に侵略されるのでは。ウクライナを見ているとそう思う。2023/09/29