蒼天の鳥

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蒼天の鳥

  • 著者名:三上幸四郎【著】
  • 価格 ¥1,826(本体¥1,660)
  • 講談社(2023/08発売)
  • 夏休みの締めくくり!Kinoppy 電子書籍・電子洋書 全点ポイント30倍キャンペーン(~8/24)
  • ポイント 480pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784065289211

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内容説明

第69回江戸川乱歩賞受賞作。

歴史に埋もれた鳥たちが、いま羽ばたく。

 大正十三(1924)年七月、鳥取県鳥取市──。
 主人公の田中古代子は、女性の地位向上を目指し「新しい女」の潮流を訴える女流作家である。本格的に作家として活動するため、娘の千鳥と内縁の夫・涌島義博の三人で、鳥取から東京に引っ越しをする予定を立てていた。移住直前のある日、古代子は千鳥と共に、活動写真「兇賊ジゴマ」を観るために鳥取市内の劇場「鳥取座」に向かう。ところが観劇中、場内で火事が発生。取り残された古代子と千鳥が目にしたのは、煙につつまれる舞台上に立つ「本物」の「兇賊ジゴマ」であった。逃げようとする二人の目の前で、ジゴマはひとりの男を刺殺し、逃亡する。命からがら鳥取県気高郡浜村の自宅に逃げ帰った古代子と千鳥であったが、一息つく暇もなく、再び謎の人物に襲われるのだった。
 果たしてこの世の中に、本物のジゴマなどいるものだろうか……? 謎は思いがけない事態へと発展していく。
 鳥取出身の実在の作家・田中古代子をモデルに、友人の女流作家・尾崎翠や鳥取に流れてきた過激アナキスト集団「露亜党」、関東大震災など、大正期を鮮やかに描く歴史活劇ミステリー!

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

starbro

203
江戸川乱歩賞受賞作を毎年楽しみにしています。本書は兇賊ジゴマ・ノスタルジー・ミステリでした。著者はベテラン脚本家で文章は巧く作品の完成度は高いですが、ミステリ色は薄め江戸川乱歩賞受賞作としては微妙な感じでした。 選考委員の貫井徳郎の意見に一票、今回は受賞作なしで良かったのではないでしょうか❓ https://bookclub.kodansha.co.jp/product?item=00003685842023/09/16

パトラッシュ

136
実在の人物が探偵役を務める乱歩賞作品は4作目だが、過去の3作に比べスケールが小さい感は否めない。田中古代子と千鳥は知る人ぞ知る存在だし、歴史に深く関わる事件でもない。大正時代の「新しい女性」たらんとする古代子の心情や、当時の鳥取や活動写真の口上など風俗描写も上手いが、どうしても佐藤賢一や梶よう子の伝記小説に比べてしまう。しかも肝心の謎解き部分が弱く、尖った部分がないので読後感は今ひとつだ。故郷の風土と人を書きたい意欲は買うが、ミステリとしては曖昧になってしまった。いっそ尾崎翠を主役にした方が面白かったか。2023/09/14

しんたろー

134
三上幸四郎さんは20年程前に何度も仕事をした脚本家さん…乱歩賞を受賞したと知り、お祝いの気持ちを込めて購入…「彼らしいなぁ」という台詞と「おっ、小説家ぽいなぁ」という文章がミックスされていた。ご出身の鳥取を舞台に実在の人物を核にした物語から、その熱い想いが伝わってきた。大正の描写も好いアクセントになっていて小説としては充分に楽しめた。ただ、乱歩賞に対する私の期待からするとミステリが「後だしジャンケン」的に感じたのが大変残念。女性の描き方が良くも悪くも「当時と変わってないなぁ」という印象なのも...惜しい。2023/08/31

hiace9000

132
「江戸川乱歩賞受賞作」触れ込みで手に。大正時代の活動写真上映会(弁士の声高な弁舌を奮う口上を伴い、モノクロームでカタカタ動く映像のあれ)を地で行く、“クセ"と独特の"味のある"筆致。作者ご出身の鳥取県を舞台にした作品を描きたかった熱意は十分に伝わってくる。ミステリーとしてはある意味「異色」。それは実在の人物が数多く登場し、その一人の生き様を通した視点から語られる奇譚だからだ。(帯の惹句にはそれを付記すべきだろう。)受賞作ゆえ、巻末にはいつもの如く選者評も載せられるが、個人的には貫井徳郎さんの評に同意する。2024/03/04

タイ子

90
江戸川乱歩賞受賞作品。時は大正、舞台は鳥取。主人公は実在の人物で作家の田中古代子。と言っても知らなくて最初は作品内の人物かと思っていたら、彼女の周りの人たちの名前が有名なので途中で調べたら実在の人でした。一緒に探偵役になる7歳の賢娘も実在で、いわゆる実在の人物たちを背景にフィクションの物語が描かれてるわけです。この時代だから活きてくる物や、背景、そして彼女の周りで起きる殺人事件が何だかノスタルジックでそれも受賞の一因なのかなと。しがらみの多い時代に夢と希望を抱く人たちの大いなる野望の物語。2023/12/30

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