筑摩選書<br> 関東大震災と民衆犯罪 ――立件された一一四件の記録から

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筑摩選書
関東大震災と民衆犯罪 ――立件された一一四件の記録から

  • 著者名:佐藤冬樹【著者】
  • 価格 ¥1,870(本体¥1,700)
  • 筑摩書房(2023/08発売)
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  • ISBN:9784480017802

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内容説明

1923年の関東大地震。その直後から自警団による、朝鮮人、中国人らに対する襲撃事件が多発し、日本人を含む多くの犠牲者をだしたが、その実態はいまだ明らかではない。誰が誰をなぜ殺したのか? 検察が立件、起訴した600人以上の被告、約90人の日本人被害者のプロフィールを分析するなどして、民衆犯罪の全貌に迫る。事件から100年、地域に根差した庶民が起こした史上最大最悪の惨事=ヘイトクライムをとらえなおす。 【目次】はじめに/第1部 関東大震災下の国家と民衆/1 軍・官・民一体のエスノサイド/2 自警団、その組織と活動実践/3 エスノサイドの背景/第2部 刑事事件化した民衆犯罪の動向/1 朝鮮人襲撃事件にみる自警団の情動/2 日本人襲撃事件の実態と被害者像/3 自警団員裁判の実態と加害者像の再検証/第3部 沖縄出身者と自警団/1 沖縄出身者襲撃伝承とその特徴/2 関東大震災、ふたつの体験記/3 沖縄出身製紙労働者の震災経験/4 沖縄における伝承の形成と定着/巻末資料/結びに代えて/索引

目次

はじめに/第1部 関東大震災下の国家と民衆/1 軍・官・民一体のエスノサイド/〔1〕自警団の結成と警察の役割/(1)警察がデマを広めた/(2)人びとがデマに動かされた/〔2〕治安エリートの「暴動」妄想と戒厳令下の虐殺/(1)エリートパニックと戒厳令/(2)戒厳軍による大量殺戮/(3)軍隊が虐殺の「見本」をみせた/〔3〕県庁と県警の失態/〔4〕掌を返した治安当局/(1)パートナーから殺人犯へ/(2)「事実の真相」を作りかえる/2 自警団、その組織と活動実践/〔1〕自警団の広がりと組織構成/(1)自警団の結成状況/(2)自警団の規模と結成範囲/(3)中核を担った消防組/〔2〕自警団の活動内容/(1)自警団の武装状況/(2)「警備」活動の実態/3 エスノサイドの背景/〔1〕全国で結成された「民衆警察」/(1)警察活動のキャンペーン/(2)警察の下部組織を新設する/(3)警察と消防と自警団/〔2〕外国人労働者「問題」の発生/(1)震災前までの在留朝鮮人の動向/(2)震災前後までの移入規制政策/(3)朝鮮人労働者の排斥、抗争事件の頻発/第2部 刑事事件化した民衆犯罪の動向/(1)典拠とした資料とその特徴/(2)刑事事件化した民衆犯罪の傾向と問題点/(3)刑事事件化した民衆犯罪の発生状況/1 朝鮮人襲撃事件にみる自警団の情動/〔1〕朝鮮人襲撃事件の発生状況/〔2〕朝鮮人被害者のプロフィール/〔3〕朝鮮人襲撃事件の態様/(1)検問中・警戒中に遭遇して襲撃/(2)逃亡した人を捕縛して惨殺/(3)住居や勤務先、宿泊先を襲撃/(4)警察署や軍隊への移送途上を襲撃/(5)派出所や警察署を襲撃/(6)負傷した人、捕縛された人を殺害/(7)政府が捏造したタイプ/〔4〕「報復」行為としてのエスノサイド/(1)自警団の犯罪、四つの特徴/(2)「原始的な復讐心」の発露/2 日本人襲撃事件の実態と被害者像/〔1〕日本人襲撃事件の発生状況/〔2〕日本人襲撃事件の経緯と態様/(1)「朝鮮人に似た人」を襲う/(2)訊問・取調を経て襲う/(3)日本人殺しの必然性/〔3〕日本人被害者に関する伝承と史実/(1)日本人の被害を併記するという問題/(2)地方紙による「誤認」被害報道/〔4〕日本人被害者のプロフィール/3 自警団員裁判の実態と加害者像の再検証/〔1〕先行研究の加害者像に対する疑問/〔2〕自警団員裁判という「猿芝居」/〔3〕加害者のプロフィール/(1)消防組員、在郷軍人、青年団員の割合/(2)「ふつうの地元民」の犯罪/(3)「在来産業」従業者主犯説の意義/第3部 沖縄出身者と自警団/1 沖縄出身者襲撃伝承とその特徴/2 関東大震災、ふたつの体験記/〔1〕襲撃伝承の原点──比嘉春潮「年月とともに」/〔2〕勤勉な自警団員──宮良當壯「遭震惨記」/〔3〕比嘉の沈黙、宮良の無責任/3 沖縄出身製紙労働者の震災経験/〔1〕雪崩を打って上京する/〔2〕「木下組」朝鮮人組夫の虐殺/〔3〕伊江村出身者と自警団事件/〔4〕襲撃伝承が生まれるまで/4 沖縄における伝承の形成と定着/〔1〕紡績女工の悲劇/〔2〕「方言」撲滅教育と「沖縄語」話者の処刑/巻末資料/結びに代えて/索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

fwhd8325

64
映画「福田村事件」で、この歴史を知ったのですが、たかが100年前のことです。こんなことが罷り通っていたことが、恐ろしいし、悲しい。かつて南京大虐殺のドキュメントを見たときにも感じましたが、人はこちら側にいるためにどんな手段も使うのだろう。人を殺すことに正義を感じることってあり得るのだろうか。関東大震災はきっかけでしかなく、この歴史は人種差別や人権を軽んじていたことが背景にあるのだと思います。沖縄の方が遭われた事件も怖い。たかが100年前の日本、東京の出来事です。2023/10/23

ケイトKATE

31
関東大震災から100年を迎えた年に出版された一冊。関東大震災で、自警団をはじめとする民衆が犯した実態を分析をしている。自警団は地域で在郷軍人会や消防団を中心に形成され、警察に代わって地域の治安を守る存在だった。当時、朝鮮人に対する蔑視する風潮に加え、三・一運動から朝鮮人への強い警戒心が重なり、自警団は朝鮮人への憎悪となって蛮行が行われた。さらに、恐怖心から訛りのある地方出身者までも殺すに至った。災害によるパニックや恐怖があったとはいえ、流言飛語を鵜呑みして蛮行を犯したことは決して許されないし汚点である。2023/08/31

二人娘の父

12
関東大震災後、各地で発生した朝鮮人・中国人虐殺事件。昨年発生から100年の節目だったこともあり、類書の刊行が多かったように思う。本書の特徴は一次資料で確実なもの(特に公判記録)を根拠に、事象の新たな断面を提示する。印象に残るのは構成だ。先行研究も多い自警団や軍官民一体となった虐殺への衝動を踏まえつつ、第2部において刑事事件となった(それ自体が全貌を表象しているとは言えないが)民衆による犯罪の実態を、第3部では沖縄出身者への虐殺行為の真相にも迫る。これまであまりなかった視点であり、極めて興味深い研究である。2024/05/10

Masakazu Fujino

10
非常に良い本。関東大震災の朝鮮人虐殺を考える上で、何より大事なのは、やはり民衆犯罪という視点を明確に持つことである。権力のデマに踊らされたなどとはいえ、たくさんの一般大衆(民衆)が、虐殺を行った事実をしっかりと見つめなければいけない。2023/12/22

どら猫さとっち

9
関東大震災から100年、映画「福田村事件」をきっかけに、朝鮮人虐殺についての本を立て続けに読んでいる。本書もその一冊である。これは立件された114件の記録に基づき、数多くの証言、被害者のプロフィールなど、表や地図も満載で、史上最悪のヘイトクライムの悲劇を浮き彫りにしていく。何冊か読んで胸焼けしたが、この惨劇を詳しく知りたい方には、本書を薦めたい。2023/10/27

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