内容説明
今日のコンクールのように,19世紀後半,芸術家たちはサロンから世へ出て行った.そしてサロンは,音楽と文学,絵画などジャンルを超えた若い芸術家たちが才能を響かせ合い新しい芸術を創造する舞台でもあった.ショパン,フォーレ,ドビュッシー,サティ,コクトー…….パリを舞台に若い芸術家たちの交流を描く.
目次
はじめに サロンという登竜門
I 団扇と婦人
II シャルル・クロ
III ニコレ街一四番地
IV ポーリーヌ・ヴィアルド
V ガブリエル・フォーレとサロン
VI ドビュッシーとサロン
VII サン=マルソー夫人
VIII オギュスタ・オルメスとジュディット・ゴーティエ
IX ポリニャック大公妃
X グレフュール伯爵夫人
XI ルメール夫人とプルースト
XII 六人組誕生
XIII ジャーヌ・バトリ
XIV 旧時代と新時代のメセナココ・シャネルとミシア・セール
XV ヴァランティーヌ・グロス
XVI サティとマン・レイとダダイスム
あとがき
主要人名リスト
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
たま
80
平野啓一郎さんの『葬送』を読むと19世紀半ばのパリの社交(訪問しあう・有名サロンに出入りする)の濃密さに驚く。青柳さんのこの本は19世紀後半(ショパン没後)から1920年頃までのサロンの女主人たちとそこに出入りした音楽家のスケッチ。ナマでしか人や音楽や絵画に触れられない時代の熱気が伝わり面白い※。最後は1920年頃のダダとシュルレアリスム、サティ。この頃はもうサロン文化を支える社会基盤が揺らいでいたようだ。森下佳子さんの『べらぼう』が文化の磁場として描いた1800年頃の江戸とも比べて見たくなる。2026/01/28
Isamash
27
ピアニスト・文筆家の青柳いづみこ2023出版著作。作曲家たちが主役と期待して読んだが、実はパリの音楽サロンの女主人たちが主人公であった。登場する音楽家はショパン、サン=サーンス、ロッシーニ、ワーグナー,リスト、エリック・サティ、ラヴェル、クロード・ドビュッシーなど。サロンには他分野芸術家も多く出入りし、詩人アルチュール・ランボー、詩人/劇作家/映画監督ジャン・コクトー、女流作家ジョルジュサンド、露作家ツルゲーネフ、詩人・小説家ヴィクトル・ユゴー、小説家マルセル・ブルースト、デザイナーココシャネル等煌びやか2024/03/13
ろべると
13
パリがもっとも輝いた時代、19世紀末からベル・エポックの社交界やサロンでは音楽家、詩人、画家などさまざまな芸術家が集い、交歓とともに新たな芸術の花を咲かせていた。ショパンやリスト、ワーグナーなどもパリで一世を風靡したのだ。そうしたサロンを主宰するのは、貴族階級でなくても受け継いだ資産をもち、芸術の才能にあふれるパトロンの女性たち。ワーグナー党のフォーレを支援してバイロイトに行かせたんだって、びっくり。ピアニストで文筆家の著者もそうした家の生まれであり、日本であればこうした社会で活躍する女性だったのだろう。2023/09/26
Wataru Hoshii
10
1860年代から1920年代まで、芸術誕生の場所となってきた様々なパリのサロンとその女主人を時代を追って紹介していく本。音楽サロンと題されているが、実際には音楽家、作家、詩人、画家などあらゆる才能が集まっていたわけで、他のジャンルとの交錯もこのサロンという場で起きていたことがわかる(歌曲における作曲家と詩人とか)。フランス近代音楽を理解する上で、このサロンという具体的な場を知ることは重要なのだと改めて感じた。そして貴族からブルジョワ、さらに労働者階級のgoûtへとサロンと芸術が変化していくのも重要な指摘。2023/11/17
ひでお
8
19世紀から20世紀にかけて、サロンを中心とした華やかな芸術文化の世界についてのエッセイ。学術的な話ではなく、軽めの読み物としてみるべき作品かなと思います。いろいろなエピソード満載なので面白いですが、わりとドロドロした人間関係の話が多いため途中で少し飽きます。青柳さんには、現代のリアルな音楽界の話を語ってほしいかなと思いました。2025/03/18
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