岩波新書<br> 女性不況サバイバル

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岩波新書
女性不況サバイバル

  • 著者名:竹信三恵子
  • 価格 ¥1,100(本体¥1,000)
  • 岩波書店(2023/08発売)
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  • ISBN:9784004319818

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内容説明

コロナ禍は,「ケアする性」を直撃した災害でもあった・・・.世界各地で「女性不況」と課題視されたにもかかわらず,なぜ日本の女性たちの雇用危機は無いことにされ,放置されてきたのか.社会に埋め込まれた「不可視化と沈黙」を生み出す六つの仕掛けを浮き彫りにし,女性たちの模索をたどる.危機はまだ終わっていない.

目次

序章 「女性発」の見えない脅威
国連が発した警告
張り巡らされる不可視化の仕組み
「女性不況」被害の幅広いすそ野
第1章 「夫セーフティネット」という仕掛け
1 シフト制パート女性の反乱
サービス産業に広がったシフト制
「シフトなし」は「契約なし」?
「週一日勤務」でも失業ではない
2 「家計補助」のトリック
解雇も失業も見えない働き方
夫(父)セーフティネットと家計補助
「大黒柱型」から「多就業型」へ
3 一斉休校と「子育て緊急事態宣言」
母子軽視の「右へならえ」政策
「子育て緊急事態宣言」
第2章 「ケアの軽視」という仕掛け
1 感染拡大下での学童保育指導員雇い止め
専門的意見を述べたら「反抗的」
切り離される「ケア的公務」
2 「保健師増やして」キャンペーン
保健所の統廃合のなかで
職場と家族の板挟み
搾取される資格職の使命感
3 「三密」の連続、上がらない報酬
実態と乖離した要請の連鎖
保育なしで医療現場も動かない
届かない「三%アップ」
4 会計年度任用職員の登場
ダブルワークでしのぐ
「マタハラの制度化」効果
第3章 「自由な働き方」という仕掛け
1 キャバクラの女性たちの「雇用回復」
「夜の街」の女性が労働実態アンケート
政府の除外が招いた風俗女性バッシング
「華やかさ」と「自由」が隠す窮迫
2 脆弱雇用ほど手薄な支え
「個人事業者」扱いの罠
渋谷ホームレス殺人事件への道
3 フリーランスを素通りした育児支援
個人申請の休校補償にも壁
自由を選んだら無保障は我慢?
仕事を口実に繰り返されたセクハラ行為
第4章 「労働移動」という仕掛け
1 就労支援の先の劣悪雇用
仕事探しの際の経済不安
「回転寿司型就労」の陰にDV
2 「資格」の限界
高度な資格が逆に壁
デンマークの「労働移動」との落差
置き去りにされる中高年女性
3 「正規化」にも限界
正社員数押し上げた福祉業界
マタハラ解雇の影
客室乗務員に最賃割れの恐れ
第5章 「世帯主主義」という仕掛け
1 「簡素」「迅速」ではなかった世帯主支給
届くまでに一年九か月
混乱招いた「受給権者は世帯主」
2 繰り返される給付金差別
子どもへの給付金でも問題化
三〇年以上にわたる攻防
暮らしへの公費の出し渋り
3 子どもや少女に広がる被害
困窮する子どもたち
少女たちの家庭脱出
家庭の外に逃げ場がない
暮らしを立て直す居場所
第6章 「強制帰国」という仕掛け
1 「外国人切り」も女性から
子どもの発熱で休んだら解雇
妊娠告げたら解雇
2 二つの「派遣切り」の温度差
繰り返された「派遣村」の構図
見えなくさせるからくり
「自己責任型コロナ対策」の歪み
境界線の両側をつなぐ動きと「支援崩壊」
3 「入れ替え装置」に挑む
「妊娠したら帰国」という「常識」
前向きの会社に、国が待った
「取り替えれば済む」という安易さ
まるで「労働者ロンダリング」
第7章 新しい女性労働運動の静かな高揚
1 「夫」の外にセーフティネットを作る
札幌の訴えが生んだ個人申請の休校補償
2 実態に合ったルールを作る
厚労省の「留意事項」の背中押す
公務員労組の三三条キャンペーン
3 「よい労働移動」を目指して
非正規公務から民間シェルターへ
五〇代で正社員に……でも限界
4 動き出す若い世代
「生理」「更年期障害」が政策課題に
海外への道ふさがれ視線が内に
「やさしいこぶしの振り上げ方」
終章 「沈黙の雇用危機」との闘い方
1 作られた「女性不況」
「沈黙の雇用危機」とは何か
「六つの仕掛け」はどう機能したか
「生きないように、死なないように」
2 男性労働問題の核でもある女性労働問題
「戦争する国」から生まれた仕組み
「家計補助」論が生んだ「賃下げ国家日本」
返す刀で作られる男性の不幸
3 「使えるもの」を掘り起こす
ステルスな戦時体制が生んだ「均衡」
「マスメディア」の二つの顔
コミュニティを掘り起こす
おわりに
主要引用・参照文献一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

崩紫サロメ

18
「コロナ禍は女性を直撃した」で始まる本書は、コロナ禍以前から女性を「ケアする性」として夫(父)の扶養で生きることを前提に低賃金で働かせる構造ができており、コロナ禍がそれを浮き彫りにしたことを明らかにする。女性を不利に扱うことを「経済的合理的」なものにしているが、それは女性だけではなく男性にも重圧を負わせていることも指摘している。2023/09/05

katoyann

16
コロナ禍の女性の雇用問題を中心に論じたルポ。コロナ禍で窮状に陥った女性へのインタビュー等、取材を基にして書かれている。飲食店で働く非正規雇用労働者である女性の場合、解雇というだけでなく、シフトを極限まで減らされて生活できなくなるパターンがあるとされる。解雇すると雇用調整助成金が減額となるため、人件費を削って利益を得ようとする店もあったということだ。女性の労働を家計補助的な仕事という扱いにして、女性を搾取することで収益を上げる企業がある訳だが、これが実は実質賃金を引き下げる要因だとしている。興味深く読んだ。2025/08/24

駒場

10
よくある言説「女性自体が家計補助的な仕事しかしたがらないんですよ」に対して、コロナで見えてきた「家計補助的な仕事しか許さない」社会の歪みを書いた本。①非正規労働者に対する不十分なセーフティネット、②「一斉休校」など家庭にケア要員がいること前提の政策、➂フルタイム男性を基本とする統計(シフトの激減は失業扱いにならないなど)、でそこにあるはずの女性の不況は見えにくくなる。自民党の持つ「伝統的家族観」が一斉休校を官邸に主導させた話や、「ケア的公務」が民間丸投げにされてる話、この国のしんどさがあるな2024/05/16

どら猫さとっち

8
コロナ禍は女性たちを襲った。非正規雇用、シングルマザー、家族に居場所がない女性たち…。コロナ禍に惑いながら生きていく姿と、女性労働運動の取り組みを紹介した一冊。雇用危機は無いことにされ、放置していたこの国。それでも大きな動きは見せず、不当な境遇に追い込む。そのなかで、女性たちの力で、コロナ禍の労働を支える人たち。社会にセイフティネットが何故必要か、本書を読んで知っておきたい。2023/08/31

てくてく

8
女性就労者が多い非正規労働者、接客サービス業、あるいは外国人労働者やフリーランスで働く人たちのコロナ禍に関する被害に関するルポタージュ。ルポだけにとどまらず、働く女性を軽視しすぎた一斉休校の問題、家計補助程度の労働だから、困ったらセーフティネットの夫に依存すればいいじゃないか、そういった構造的な問題への異議申し立てを行ったひとたちおよびそれを支援する人たちも描いており、戦後の労働問題を考える上で参考になった。2023/08/23

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