権力分立論の誕生 - ブリテン帝国の『法の精神』受容

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権力分立論の誕生 - ブリテン帝国の『法の精神』受容

  • 著者名:上村剛
  • 価格 ¥7,260(本体¥6,600)
  • 岩波書店(2023/08発売)
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  • ISBN:9784000614603

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内容説明

権力分立論はどのようにして姿を現したのか.一八世紀後半のブリテン帝国における『法の精神』の受容に焦点をあてることで,モンテスキューからアメリカ合衆国憲法制定時のマディソン,ハミルトンに至る政治思想史を精緻に叙述する.権力分立論の通説的理解を大きく修正し,その成立過程に新鮮な読み直しを迫る画期的研究.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.

目次

序章
第1部 鏡の国のモンテスキュー? 混合政体論と権力分立論の重なり(1748~1765)
第1章 『法の精神』における混合政体/権力分立と二つの裁判権
第1節 「三権分立」をめぐる議論の錯綜
第2節 裁判権の重要性
第2章 仏英における『法の精神』受容とブラックストン『イングランド法釈義』
第1節 英語圏におけるモンテスキューの高評価
第2節 ブラックストンにおける混合政体論と権力分立論の重なり
第3節 モンテスキューからブラックストンへ 司法権の変奏と貴族身分の擁護
第2部 さまよえるブリテン人 帝国の誕生と、混合政体論の動揺(1763~1773)
第3章 総督と植民地 帝国的国制の態様
第1節 1763 年勅令と新植民地の苦闘
第2節 トマス・パウナル 混合政体論なき権力分立論の萌芽
第3節 国王大権モデルと混合政体モデル 参議会への権力集中
第4章 ミドルセックス選挙における混合政体論と権力分立論の衝突
第1節 論争が起きるまで
第2節 庶民院議会における罷免の決議と、グレンヴィルの反論
第3節 ウィルクスの再選と、議会外への論争の波及
第4節 立法権と司法権の異同?
第5節 論争の終了と影響
第6節 非混合政体論的国制解釈への傾斜 ドゥロルム『イングランド国制』
第5章 植民地に裁判所を作る 1773 年東インド会社規制法への道
第1節 支配権の確立から司法法案まで
第2節 東インド会社規制法案と最高裁判所
第3節 ブリテン帝国における権力分立論の誕生
第3部 そうやって最も美しい が生まれる 帝国的国制のアメリカ的変容(1774~1792)
第6章 ケベック法とジョン・ディキンソン
第1節 フランス法の尊重か、イングランド法の導入か ケベック統治のディレンマ
第2節 ジョン・ディキンソン、反本国派のリーダーになる
第3節 『ケベック住民への手紙』におけるモンテスキューの援用
第4節 植民地期の権力分立テーゼ・再考
第7章 1776 年の邦憲法制定
第1節 宙づりの権力分立論 ジョン・アダムズ『政府に関する考察』
第2節 ヴァージニア邦憲法における権力分立の成文化
第3節 権力分立と帝国的統治構造 修正参議会の登場
第8章 マディソンの換骨奪胎 『フェデラリスト』のレトリックとリアリティ1
第1節 いかに邦を抑制するか マディソンにおける権力分立論の消極的地位
第2節 『フェデラリスト』における非権力分立論的権力分立論の価値
第3節 Adieu, Montesquieu マディソン、モンテスキューと訣別する
第9章 ハミルトンの一点突破 『フェデラリスト』のレトリックとリアリティ2
第1節 ハミルトンと執行権の単一性
第2節 執行参議会をめぐる葛藤
第3節 「立法審査制」から司法審査制への横滑り
終章
参照文献
あとがき
事項索引
人名索引

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

フクロウ

8
権力分立論は、今日義務教育課程で教えられている立法・行政・司法の三権分立が自明な理論だったわけではなく、ブリテン国制の混合政体論や植民地の議会制・独立戦争などの種々の対抗理論の中から偶然生じてきたものであり、『ザ・フェデラリスト』のマディソンにとっても、またハミルトンにとっても、本来の信条とは異なる実践的選択の帰結であった。そんな経路依存的な偶然の積み上がりが司法審査制につながるのだから、面白い。2026/01/19

5
学校教育でも様々な解説書でも当然のように論じられる、モンテスキューによる権力分立論がアメリカ合衆国憲法において(マディソンを中心にして)成立した、という説明を史料の丹念な読解により捉え直していく本。イギリスからアメリカへモンテスキューが様々に読まれていき、東インド会社やアメリカ憲法制定会議などの現実の政治過程が議論に影響を与え、論者らの主たる意図とは違う形で「抑制均衡を図る立法・行政・司法の権力分立」へと結実していく。帝国史の視点をとり、また、政治思想史のみでなく政治理論への示唆も含んだ、優れた研究書。2026/04/06

261bei

2
モンテスキューの受容問題と現代的な権力分立論(特に司法審査)の発端を考える重い一冊。モンテスキューのイングランド国制論で述べている裁判権は、陪審しか意味しない(これは目から鱗!)。だから裁判権は無となり、警戒しなくて良い。しかし、誤訳も相まってイギリスでは判事の権限として理解される傾向があった。ブラックストンも陪審を無視するわけではないが、裁判所の司法権について語る。植民地と本国との差異が、権力分立論が混合政体論と別れる契機となり、特に司法審査モデルが成立した。2025/04/16

Go Extreme

2
鏡の国のモンテスキュー─混合政体論と権力分立論の重なり:法の精神における混合政体・権力分立と2つの裁判権 仏英における『法の精神』受容 さまよえるブリテン人─帝国の誕生と混合政体論の動揺:総督と植民地─帝国的国制の態様 ミドルセックス選挙における混合政体論と権力分立論の衝突 植民地に裁判所を作る─1773年東インド会社規制法への道 最も美しい噓が生まれる─帝国的国制のアメリカ的変容:ケベック法とジョン・ディキンソン 1776年の邦憲法制定 マディソンの換骨奪胎ーフェデラリスト ハミルトンの一点突破2021/04/25

Ra

1
『法の精神』から『ザ・フェデラリスト』までの受容史、「権力分立」論ひいては近代の統治機構論をめぐる抗争史について、通説・教科書的理解(マディソンはモンテスキューの正統継承者など)に挑戦する野心作。「本書を貫く一つの視座は、権力分立論が決してある時代、場所において一つに定まったものではないどころか、権力の集中を忌避する人々によって抗争的に切り出される議論であり、それゆえに意味内容が可変的で動態的である、と捉えること」(終章:303頁)にある。2021/07/17

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