経済の時代の終焉

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経済の時代の終焉

  • 著者名:井手英策
  • 価格 ¥2,970(本体¥2,700)
  • 岩波書店(2023/08発売)
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  • ISBN:9784000287319

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内容説明

なぜかくも多くの人びとが新自由主義を受け入れ,経済の暴走に身を任せているのか.アメリカへの従属,中間層の剥落,福祉国家の動揺,地方財政の破綻など,グローバリズムの潮流が日本社会を飲み込んでいく様相を,国際比較をまじえて立体的に描き出す.私たちは経済を再び飼いならせるのか.新しい社会を築くための基本的な理念を打ち出す批判的考察の書.

目次

序章 さまよう「公」と「私」
第一章 私たちはどのように新自由主義に飲み込まれたのか?
1 日本における新自由主義の受容と三つのショック
2 経済界の反撃 いっそう小さな政府を目指す臨調
3 凋落するアメリカ、追随する日本
4 外圧と経済の長期停滞に翻弄された一九九〇年代
第二章 なぜ私たちの賃金は下落するのか?
1 先進国を覆う賃金下落の恐怖
2 グローバリゼーションと日本経済の地殻変動
3 労働者の犠牲がささえる社会
第三章 グローバリゼーションはどのように世界経済を揺るがしたのか?
1 債務危機とアメリカのグローバリズム
2 「大いなる安定」から「大いなる不安定」へ
3 欧州型福祉国家の苦闘と挑戦
第四章 なぜ財政危機が問題なのか?
1 デトロイトの財政はなぜ破綻したのか
2 財政破綻を生み出した「租税抵抗」
3 日本の地方自治体は「危ない」のか?
4 「夕張問題」が私たちに語りかけるもの
終章 経済の時代の終焉 再分配と互酬のあたらしい同盟
1 経済の膨張の果てに
2 民主党政権はなぜ歴史の舵を切り替えられなかったのか
3 経済を制御する社会をめざして

参考文献
あとがき

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

翔亀

35
【人新世3】ハラリのサピエンス全史の解毒薬として、少しは現実的なものを読みたくなった。資本主義の暴走という現実は肯んじえても、その当然の行き先には超ホモ・サビエンスが待ち構えているなんて納得できなかったからだ。■本書は財政学の最近の収穫とされる。かつて財政学なんて所詮支配の道具だろうぐらいにしか思っていなかったが、神野直彦さんを知って希望を語れる学なんだとイメージが変わった覚えがある。一世代若い井手はその系譜に連なる。ハラリが資本主義の最も重要な声明書と紹介しているアダム・スミス。自分が裕福になることは↓2020/11/11

壱萬弐仟縁

32
貧困とは、人間にとっての必需品を十分に獲得できない状態(10頁)。経済は、人間の本質を経済社会の運動メカニズムに組み込むかたちで、無制限の膨張を続けていく。欲望の連鎖こそが市場経済の核心(12頁)。格差問題の核心は、非正規雇用化と賃金の下落にある。中間層から低所得層への剥落とダイレクトに結びつく問題(71頁)。結局、アメリカにおける地方の財政危機の根底にあったのは、連帯の危機、政治的対立の深化、租税抵抗(178頁)。2016/02/17

coolflat

14
輸出依存型から内需依存型、内需依存型から新自由主義経済へと、いかに日本の経済が米国の都合により変質させられていったのか。またそれだけでなく、日本の経済界が米国の圧力を利用しながら、いかにして法人税減税の果実を手にしていったのか。貧乏人はますます搾り取られ、金持ちはますます富む。所得格差の拡大や賃金の減少が人々を不安に陥れ、中高所得層はその救済のための負担から逃れるための理由探しに血道をあげる。そういう社会的病理現象とも言うべき経済構造はどのようにして作られたのか。70年代から現在まで、その流れを追っている2016/10/04

Francis

10
経済学者の井手英策さんの2015年の著書。前半は最新著「欲望の経済を終わらせる」でも書かれた1980年代以降の日本の経済政策についで。後半ではスウェーデン、ドイツ、アメリカなど諸外国の例をたどりながら「経済を制御可能な正しい場所へと誘い、互いに助け合う、ささえあうという人間の本来の性質に輝きを取り戻させることで、より人間の顔をした経済とよりよい生の条件を作る。」ために何をしたら良いのかを考える。この本は井手さんの理論の集大成と言える。「幸福の増税論」などの新書版の著書はこの著書の枝にあたるのだろう。2020/07/26

Kazuo

8
経済哲学/財政哲学の本。経済史の視点では「自由な経済活動が社会全体の調和をもたらすと考えた点」がA.スミスのオリジナルだとするが、今日の現実から「市場経済それ自体は、社会に秩序をもたらす力を持っていない」と総括する。拡大する格差については「社会の分断を加速させるとしか思えない選択、公的領域の縮小という判断を私たちが簡単に受け入れた事実」こそが問題だとする。「新しい社会統合のあり方を構想しない公共投資の削減は単なる統治システムの解体」であるので、新しい財政(現在の財務省の財政再建主義でない)の必要性を説く。2015/08/29

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