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内容説明
入院や愛猫の死を経験した養老孟司が、四人の識者と語り合い、改めて「老い」と死を見つめる。新たなタイプのアンチエイジング薬の開発、人気エッセイストによる認知症の介護の実体験、生活保護費から見えてくる老後の生活の真実、自己を開くことが死の「練習」になる……。幸福な老後を過ごすための、大切な知恵が詰まった一冊。 ●「自己を開くことを繰り返していけば、自ずと死を迎えるための練習にもなるのではないかなという気がするんですね」(南直哉) ●「DNAの修復能力は『寿命の壁』を突破する一つのカギだと考えています」(小林武彦) ●「都会の高齢者ほど、老後の生活に必要なのは『お金』だけだと思い込んでいます。『自然資本』や『人的資本』に目が行かないのですね」(藻谷浩介) ●「(母の)認知症がだいぶ進んでからは、母が頭のなかで思い描く世界に一緒に乗ることにしました。そのほうが介護する側も、される側もおもしろいし、イライラしないし」(阿川佐和子) ●「自分のことなんか、人に理解されなくて当たり前と思ってりゃいい」(養老孟司)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
rokubrain
19
養老先生が4人の各分野での識者たちとの対談を通して、この問題の見方や考え方を探っていく内容。対談を通じて、様々な気づきや学びがあった。 リベラルで思想的に「執着」がなさそうな養老先生だからこそ、テーマの本質に迫られていると感じた。 ひと言でいうと、「老いと死」は、自我をなくし、”自然”に溶け込んでいく過程をイメージすると分かりやすいと思った。2024/03/02
スリカータ
14
養老孟司先生の対談本。どの対談相手も興味深い内容で引き込まれて読んだ。九相図巻を初めて見たが、若い女性が死んで朽ちるまでを段階的に描いたもので、絵本作家・近藤薫美子さんの「のにっき」の人間版の様。衝撃的で見入ってしまったが、解剖学はこれが日常なのだから、達観するのも当然だ。養老さんが愛猫まるを亡くした話を、阿川佐和子さんが引き出していた。養老先生は泣かないと仰ったけど、寂しさはふとした日常に訪れるもの。おひとりで寂しさと向き合っているのだろう。2024/01/29
Melody_Nelson
9
対談相手が全て良い!宗教・哲学、生物学的な視点からの「生と死」、里山資本主義からの「高齢者」、実際に高齢者と過ごした阿川さんの経験など、サラッと読めつつ、なるほどねーと思う。藻谷さんの地方に関するデータや知見がとても面白い。が、個人的には、認知症になったお母様についての阿川さんの話がグッときた。否定しないのは大事なんだな。尊厳は大事。2023/09/26
Asakura Arata
8
自分を外に広げていくという、死への向かっての準備は、瞑想箱庭療法の環融体験に似ている。そうか、瞑想箱庭療法は、死への準備の方法として位置付けることもできそうだ。2023/10/21
ジン
7
老いること、死ぬことを考えるのは生きることを考えることと同じだと思う。なので定期的に死生観?をテーマにした本が読みたくなる。 資本がカネではないというのが興味深かった。2024/02/21