筑摩選書<br> 十字軍国家

個数:1
紙書籍版価格
¥2,090
  • 電子書籍
  • Reader

筑摩選書
十字軍国家

  • 著者名:櫻井康人【著者】
  • 価格 ¥1,980(本体¥1,800)
  • 筑摩書房(2023/08発売)
  • ポイント 18pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784480017758

ファイル: /

内容説明

十字軍と言えば、もっぱら運動としての面が注目され、十字軍士たちが各地に建設した諸国家、すなわち十字軍国家の全体像が語られることはなかった。だが、1098年のエデッサ伯国建国から、1798年のナポレオンによるマルタ島攻撃までの実に700年にもわたり十字軍国家は存続していた。ローマ教会、ビザンツ帝国、神聖ローマ皇帝、イスラーム勢力や地中海の諸商業都市、傭兵団、さらには来襲するモンゴル勢など、多種多様な勢力が複雑に絡み合う興亡の歴史を、第一人者が活写する。 【目次】序 十字軍国家とは何か/I ラテン・シリア/第1章 ラテン・シリアの誕生(1097-1099年)/第2章 ラテン・シリアの形成(1098-1118年)/第3章 ラテン・シリアの成長(1118-1146年)/第4章 ラテン・シリアの発展と分断(1146-1192年)/第5章 ラテン・シリアの回復と再分断(1192-1243年)/第6章 ラテン・シリアの混乱と滅亡(1243-1291年)/II キプロス王国/第7章 キプロス王国の形成と発展(1191-1369年)/第8章 キプロス王国の混乱と消滅(1369-1489年)/補章1 ヴェネツィア領キプロス(1489-1573年)/補章2 キリキアのアルメニア王国(1198-1375年)/III ラテン・ギリシア/第9章 ラテン帝国(1204-1261年)/第10章 フランク人支配下のモレア(1)(1204-1311年)/第11章 フランク人支配下のモレア(2)(1311-1460年)/補章3 カタルーニャ傭兵団とアッチャイオーリ家(1311-1462年)/IV 騎士修道会国家/第12章 ドイツ騎士修道会国家(1225-1561年)/第13章 ロドス期の聖ヨハネ修道会国家(1310-1523年)/第14章 マルタ期の聖ヨハネ修道会国家(1523-1798年)/あとがき/主要参考文献/十字軍国家支配者一覧

目次

序 十字軍国家とは何か/「十字軍」の定義/十字軍士と十字軍特権/永続的十字軍特権と十字軍の終焉/十字軍国家の定義と本書の構成/I ラテン・シリア/第1章 ラテン・シリアの誕生(1097─1099年)/アルメニア人の居住地域へ/ボードゥアン・ド・ブーローニュとタンクレーディの対立/エデッサ伯国の成立/アンティオキア占領/アンティオキア侯国の誕生/エルサレムの征服/第2章 ラテン・シリアの形成(1098─1118年)/アンティオキア侯ボエモンド一世の苦悩/ゴドフロワによる教会国家の建設/ボードゥアン一世のクーデター/沿岸部の制圧/アンティオキア侯国の摂政タンクレーディ/ボエモンド一世の末路/エデッサ伯ボードゥアン二世の復活/トリポリ伯国の誕生/マウドゥードの侵攻/「血の平原の戦い」/ボードゥアン一世の死/第3章 ラテン・シリアの成長(1118─1146年)/ボードゥアン二世のクーデター/ラテン・シリアの宗主として/ボードゥアン二世の捕囚/ティール占領/ボードゥアン二世の帰還/ザンギーの登場/ラテン・シリアの君主たちの死/アンティオキア侯国の内紛/ザンギーの帰還/ビザンツ帝国の侵攻/エデッサ伯国の滅亡/第4章 ラテン・シリアの発展と分断(1146─1192年)/ダマスクスを巡る攻防/エデッサ伯国の完全消滅/エルサレム王国の内戦/アスカロンの占領/(第一次)ヤコブの浅瀬の戦い/キプロス侵攻/ビザンツ帝国との関係修復/ボードゥアン三世の死とアモーリーの即位/エジプト遠征へ/サラーフッディーンによるエジプト制圧/アモーリーとヌールッディーンの死/ボードゥアン四世の即位/ボードゥアン四世とサラーフッディーンの衝突/王党派とバロン派の対立の顕在化/ギー・ド・リュジニャンの即位/ハッティーンの戦い/エルサレムの陥落/命拾いしたラテン・シリア/第5章 ラテン・シリアの回復と再分断(1192─1243年)/アンリ・ド・シャンパーニュの「即位」/ボエモンド三世とレヴォン二世の対立/二つの王国の誕生とアンリの死/エメリー・ド・リュジニャンの統治/アンティオキア侯位継承戦/ジャン・ド・ブリエンヌの即位/レヴォンの勝利/第五回十字軍とボエモンド四世の復権/ボエモンド四世の報復/エルサレム国王フリードリヒ二世/ヤッファ協定/ロンバルディア戦争の勃発/二つの十字軍/ロンバルディア戦争の終結とラテン・シリアの再分断/第6章 ラテン・シリアの混乱と滅亡(1243─1291年)/エルサレムの再喪失/ラ・フォルビーの戦い/ボエモンド五世の苦悩/ルイ九世の下での安定/聖サバス戦争の始まり/アイン・ジャールートの戦い/バイバルスの猛攻/聖サバス戦争の再燃/エドワード王太子の十字軍/ユーグ三世の失策/シャルル一世・ダンジューのエルサレム国王位購入/トリポリ内戦/キプロス国王の復権/トリポリ伯国の滅亡/アッコンの陥落/II キプロス王国/第7章 キプロス王国の形成と発展(1191─1369年)/キプロス島の制圧/ギー・ド・リュジニャンによる島の再建/キプロス王国の成立/ロンバルディア戦争とキプロス王国の独立/二人のユーグの争い/産業と農民/教会/シャルル一世・ダンジューとの闘争とエルサレム王国の滅亡/アモーリー・ド・リュジニャンのクーデター/経済的復興/ピエール一世と永続的十字軍特権/ピエール一世の暗殺と十字軍熱の冷却/ピエール一世のもう一つのもくろみ/第8章 キプロス王国の混乱と消滅(1369─1489年)/報復の融合/ジェノヴァ軍のキプロス侵攻/キプロス国王ジャック一世/マムルーク朝の属国に/家庭問題/「キプロス人」の形成/シャルロット対ジャック/キプロス国王ジャック二世の結婚/ヴェネツィアへの譲渡/補章1 ヴェネツィア領キプロス(1489─1573年)/統治構造/植民地化と暴動/宗主国マムルーク朝との関係/宗主国マムルーク朝の滅亡/第三次オスマン・ヴェネツィア戦争とキプロスの防衛強化/一五七〇年の攻防/ヴェネツィア領キプロスの消滅/「キプロス国王」のその後/補章2 キリキアのアルメニア王国(1198─1375年)/アルメニア人のキリキアへの移動/ルーベン家の苦境/トロス二世の巻き返し/ムレーの謀反/兄ルーベン三世と弟レヴォン二世/アルメニア王国の誕生/アルメニア国王レヴォン一世/モンゴル皇帝の家臣に/バイバルスの脅威/キプロス王国との関係強化/瀕死のアルメニア王国/三人の国王の殺害/アルメニア王国の滅亡/III ラテン・ギリシア/第9章 ラテン帝国(1204─1261年)/ラテン帝国の成立/ヴェネツィア領ギリシア/教会組織の整備/ビザンツ系国家/トラキアの反乱とアドリアノープルの戦い/アンリ一世の即位/テサロニキの反乱/アンリ一世の死/ピエール・ド・クルトネーの即位/ロベール・ド・クルトネーの時代とテサロニキ王国の滅亡/イヴァン二世・アセンの野望とジャン・ド・ブリエンヌ/ボードゥアン二世・ド・クルトネーのヨーロッパ遊説/モンゴルの脅威と二度目のボードゥアン渡欧/ニカイア帝国の勢力拡大/ラテン帝国の滅亡/第10章 フランク人支配下のモレア(1)(1204─1311年)/ペロポネソス半島の制圧とアカイア(モレア)侯国の誕生/その他の諸侯領/ジョフロワ一世とオトン一世/安定期の到来/内紛とペラゴニアの戦い/アカイア侯国の内部状況/司教区/第二局面の入り口/ヴィテルボ協約/アルバニアを巡る攻防/フローラン・ド・エノーの統治期/フィリップ・ド・サヴォワの廃位/ナポリ国王の直轄地として/カタルーニャ傭兵団の侵攻/第11章 フランク人支配下のモレア(2)(1311─1460年)/ルイ・ド・ブルゴーニュとフェラン・デ・マヨルカ/マオー・ド・エノーの運命/アンジュー家離れ/アッチャイオーリ家の登場/カトリーヌ・ド・ヴァロワのもたらした分断/オスマン朝の脅威/アッチャイオーリ家の台頭/ロベール・ド・ターラントの死と内紛/聖ヨハネ修道会への貸与とナバラ傭兵団の登場/聖ヨハネ修道会による購入/アメデー・ド・サヴォワの介入/ネリオ一世・アッチャイオーリの死/アカイア侯ペドロ・ボルド・デ・サンスペラーノの誕生/ビザンツ帝国の勢力拡大/最終局面/補章3 カタルーニャ傭兵団とアッチャイオーリ家(1311─1462年)/カタルーニャ傭兵団によるアテネ公国占領/対カタルーニャ傭兵団の十字軍/ネオパトラス公国建国/ゴーティエ六世・ド・ブリエンヌの復権の試み/ドン・アルフォンソの息子たち/アテネ兼ネオパトラス公位および総代理人職の推移/ロヘル・デ・ルリアの謀反/カタルーニャ傭兵団の内部分裂/テーベの占領/アテネとネオパトラスの占拠/アテネ兼ネオパトラス公ネリオ一世・アッチャイオーリ/ヴェネツィア領アテネ公国/アントニオ・アッチャイオーリの公位簒奪/アテネ公国の終焉/IV 騎士修道会国家/第12章 ドイツ騎士修道会国家(1225─1561年)/ヴェンド十字軍からリヴォニア十字軍へ/プロイセンへのドイツ騎士修道会の導入/リヴォニア帯剣騎士修道会の編入/一二六〇年の大反乱と入植活動/マリエンブルクへの本部移転/タンネンベルクの戦い/一三年戦争/ドイツ騎士修道会領プロイセンの消滅/騎士修道会のその後/第13章 ロドス期の聖ヨハネ修道会国家(1310─1523年)/ロドス島の獲得/基盤形成の模索/交易活動の開始と教皇庁の介入/大シスマの影響と「言語」による分裂/マムルーク朝との良好な関係/総長ジャン・ド・ラスティクの改革/第一次ロドス包囲戦/ジェムの亡命/マムルーク朝の滅亡/ロドス陥落/第14章 マルタ期の聖ヨハネ修道会国家(1523─1798年)/宗教改革と聖ヨハネ修道会/マルタ包囲戦/レパントの海戦/私掠船の活用/国際的な国家間協定と私掠活動の抑制/フランス革命の影響/ナポレオンによるマルタ占領と十字軍の終焉/その後の聖ヨハネ修道会/あとがき/主要参考文献/十字軍国家支配者一覧

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

よっち

37
一〇九八年のエデッサ伯国建国から、一七九八年のナポレオンによるマルタ島攻撃まで、十字軍士たちが各地に建設した諸国家の七〇〇年にわたる興亡の歴史を解説する一冊。十字軍の定義や特権を踏まえつつ、シリアの十字軍国家群、キプロス王国、ヴェネチアがビザンツ帝国を征服してできたラテン帝国、騎士修道会国家が、ローマ教会、ビザンツ帝国、神聖ローマ皇帝、イスラーム勢力や地中海の諸商業都市、傭兵団、さらには来襲するモンゴル勢など多種多様な勢力が複雑に絡み合う中、何とか生き延びる道を模索し続けたその歴史はまさに波乱万丈でした。2023/09/24

MUNEKAZ

18
エルサレム王国やラテン帝国といった「十字軍国家」の通史でいいのかな。類書も無いとのことだが、シリア、ギリシャ、キプロスと人名・地名つるべ打ちの超濃縮版で、読むのには骨が折れる。所詮外からやってきたフランク人の作った国家なので、情勢次第ではイスラムとも手を組むし、キリスト教徒同士でもいがみ合う。さらにローマ教皇や神聖ローマ皇帝、フランス王といった西からの介入が、混沌さに拍車をかける。結局何も残らなかったんだけど、「王位」はしっかり西欧諸国の王に継承されているのも興味深い。やっぱその辺はしっかりしてるね。2023/12/30

kuroma831

10
エルサレム王国やアンティオキア侯国に代表される十字軍国家を初期十字軍の時代から18世紀のマルタ騎士団の消滅まで、700年の歴史を描く。非常に大ボリューム。いわゆる十字軍国家として思い浮かぶラテン・シリアだけでなく、キリキアのアルメニア王国やキプロス王国といった周辺地域、ラテン帝国やアカイア侯国のようなラテン・ギリシアの十字軍国家、ドイツ騎士団などの北方十字軍国家、聖ヨハネ騎士団のような騎士修道会国家まで含めている。キングダム・オブ・ヘヴンのエルサレム王国以外は馴染みの無い歴史で非常に面白かった。2023/11/18

スプリント

7
かなり勢力が入り組んでいて読み物としてとても面白い ヨーロッパ勢は同じ名前の人物が多すぎて混乱する。 最初はキリスト教とイスラム教の争いだったのに 徐々に権力争いが主になり、ヨーロッパ勢とイスラム勢が手を組んだりするので余計にわかりづらくなる。 特にジェノヴァやヴェネチアなどの商業命の勢力の動静が混乱に拍車をかけている。 2023/11/05

じょあん

5
レバントのみならず、プロイセンやギリシャの十字軍国家も扱い、その理解に必要になるアルメニア王国をはじめとする勢力もおさえている。まんべんなく十字軍国家をとりあげた貴重な概説書になっている。とかく人名・地名が出てくるので、関係図などをつくりながら整理しながら読むのがおすすめ。淡々とした記述に事実の羅列的な印象を受ける向きもあって好き嫌いが分かれるとは思うが、学問的誠実さを感じる。2023/11/14

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/21423023
  • ご注意事項

最近チェックした商品