内容説明
四ツ角高校三年二組で一番美しく人気もあった羽村更紗が突如自殺した。遺書もなくいじめもなかったが、告別式で家族はかたくなに娘の顔を見せようとしなかった。彼女の死をきっかけに、次々と女生徒が見えない力によって容姿を傷付けられていく。クラスの誰かが“あの力”を行使している――生徒達は疑心暗鬼に陥った。担任の小谷舞香は、この異変の真相を探るうちに地域に伝わる人の見た目を変えるおまじない「ユアフレンド」の存在を知り犯人を捜し出そうとする。戦慄の学園ホラーミステリー!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のり
63
クラスの女子生徒の容姿が次々と傷つけられる。突然の異変に悲観して自殺者も出る。原因不明の怪奇。この事件のウラを探る担任の女教師と、命を絶った子を慕う生徒。そこで過去にもあった「ユアフレンド」という、御呪いの存在が浮かぶ。しかし、魔の手は彼女達をも襲う。痛々し現実と、周囲を疑う状況に疲弊する。犯人の目的とは…闇疲れた心情が悲壮感を煽る。2024/02/02
sin
57
凶器による殺人ならば使用者が犯人ということは明確な事実だろう。ミステリは読者に犯人を悟らせないよう犯行のトリックに工夫を凝らすものだが、そこに呪物を絡めたことで犯人の正体に意外性を持たせている。動機の面でも美醜と云う主観的な思いを据えることで読者の目を晦ましているのだが、容貌に悩む人間はこの物語をどう受け取るのだろうか?結びで明かされる「使った本人を美しさや醜さの外に解き放つ…」実際は前向きに生きようとしても周りがそうさせてくれないだろう?社会が変わらないかぎり思いはいつまでも呪いのままではないだろうか?2024/04/23
坂城 弥生
47
相手の美醜を自在に変えられたら。そんなおまじないの物語。怖かった…2023/11/17
ゆん
29
クラスで1番綺麗で人気者だった子が突然自殺し、その死をきっかけに次々と女子生徒が見えない力に容姿を醜くされ…! ユアフレンドという恐怖の"おまじない"が死傷者を多数出す戦慄のホラーミステリー。 正直、期待した怖さは全然ないですけど、後半にかけて犯人が明らかになっていく過程はしっかりミステリーしてて面白かったです。 ホラー要素が薄かったのが残念といえば残念かな? ミステリー小説としてなら◎2023/08/20
ひろ
23
おまじないで、綺麗なあの子を醜い顔へ変える。外見の美しさは無視できるものではない。ルッキズムと取り沙汰されようと、美醜は判別される。高校生なら尚更。読んでいて心臓を掴まれるような恐怖に苛まれた。いっそのこと殺される方が良いのではないだろうかと考えてしまう。テーマが刺さったこともあって、ホラーとして久々にずっしりときた。一方、姿見えぬ犯人を探し出す過程はしっかりミステリ。真相は全く見抜けなかった。そして、全てがわかった上で、読みながら思い描いていた登場人物たちの顔を呼び起こす。→ 2023/12/14