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内容説明
「空襲がなかったから古い町並みが残る」「京料理は伝統的和食の代表」「職住一致が空洞化を防いだ」「魅力的景観は厳しい保護策のおかげ」――これらの印象論は本当に正しいのか? 地元の「洛中」礼賛一辺倒に疑問を持つ京大出身の経済学者が、「千年の都」が辿った特異な近現代の軌跡を、統計データを駆使して分析する。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おせきはん
31
歴史と伝統が魅力でもあり成長の制約にもなっている京都の実態について経済学の視点から論じられています。観光客として行く立場では気づかなかった京都の課題に関する考察は興味深く、これまでとは違った視点から京都の姿を俯瞰できました。2024/01/15
てん06
18
京都といえば観光、京料理が思い浮かぶが、これらは高度成長期以降に興ってきたものである。今や京都は都心の空洞化、人口流出に喘ぐ都市になっているが、産業都市としてどのように歩んできたのかをデータを駆使しながら経済学の研究者が考察する。京都は歴史的に見て良くも悪くも西陣織が産業の全てで、それがパッチワークのような町割りや町衆を産み、結果として市の中心部には大企業はなく、若者も大学を出れば他の都市に出ていく。京都が今の姿になってしまった理由がわかった気がする。最終章の提言は少し飛躍しすぎな感がある。2024/02/08
りょうみや
17
京大経済学の先生が(東京や大阪と比べ)産業都市のして未完に終わり人口減少で心配な京都について現在の構造を多面的に分析して、なんとか復活の目がないか懸命に探している。外側と内側から観光地だけではない京都の姿が浮かび上がる。データ重視で骨がある。京都府民ではないけど京都市は近隣で身近な存在。これからどうなっていくのか見守りたいと思う。2024/01/20
そうたそ
11
★★★☆☆ 未完の産業都市である京都を経済学的なアプローチから捉えた一冊。京都市の今後が心配なことは今に始まった話ではないが、やはりこうして読むと改めて、本当に行き詰まってるんだとげんなりしてしまう。統計データが多く慣れていない者からすれば読み進めるのにも苦労するが、そこから導き出される結論は、京都に馴染みのある者からすればなかなか面白い。京都を知らない人からすれば、なかなか興味も持てない内容かもしれないが、京都の今を考えるためにも読みたい一冊。2024/06/19
がんもどき
9
京都市がどうして産業都市としてうまくいかなかったのか、いろいろな面から論じた本。京都について書かれた本の常で、狭い意味での京都、「京都市」について語られている。まあ、なるほどと思わせられるところも多かった。立地として不便な場所というのはその通りだと思う。2024/05/13