内容説明
ロシアによるウクライナ侵攻。
この暴挙は明らかな侵略戦争にもかかわらず、アフリカやアジアなどのグローバル・サウス諸国の一部は、ロシアに対して明確な非難姿勢を見せず、欧米と一線を画す態度をみせている。
この分断は、グローバル・サウスのグローバル・ノースに対する不信感、さらには植民地主義時代から始まった西洋の軍事、経済による世界支配の終焉の表れなのではないだろうか。
ウクライナ戦争が浮き彫りにした、この大きな歴史的うねり・変化の深層を、ウクライナの戦場とアフリカ諸国の現地ルポを通して、NHK記者が立体的に描き出す。
目次
はじめに かみ合わない世界で
第1章 常任理事国の暴挙
第2章 対話が通じない相手
第3章 苦悩する国連
第4章 広がる食糧危機
第5章 暗躍する傭兵
第6章 イラクとウクライナ
第7章 母親の涙
第8章 情報戦
第9章 徹底抗戦
第10章 欧米がそこまで憎いのか
第11章 グローバル・サウスをめぐる外交
第12章 より偉大な何かを求めて
第13章 真っ暗な首都で
おわりに ひまわりは枯れたけれども
あとがき
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
skunk_c
62
気鋭のNHK記者が、南アフリカとウクライナを行ったり来たりしながら取材した内容をまとめたもの。ウクライナ現地での取材はやはりリアルで、どんな理由にせよ他国の領土に攻め込むことの理不尽さを感じた。一方アフリカ諸国等のグローバル・サウスがロシアを非難しないことについて、特に欧米への不信感があるという指摘は重要。かつて土足で人の土地に踏み込み、勝手に国境線を引いたわけで、ロシアの侵略は支持しないが、NATO側には与しないとの姿勢がはっきりしている。特にケニヤのキマニ国連大使の発言が印象に残った。2023/10/25
buuupuuu
18
ロシアによるウクライナ侵攻によって、東西の対立だけでなく南北の分断も浮かび上がったようだ。アフリカ諸国の内、ロシアの即時撤退を求める国連総会決議案に賛成したのは約半数だけだった。アフリカ諸国は西欧に支配・搾取されてきた歴史があるため、心情的に西側につきたくない。ロシアはそのような西欧への反感を利用して情報戦を展開しているのだという。望まれるのはどちら側にも阿らない独立した態度なのだろう。自分達は「より偉大な何か」を求めるのだと述べたケニアのキマニ国連大使の言葉は、そうした態度の一つの表現なのかもしれない。2023/10/13
Melody_Nelson
8
NHK海外特派員としてお見かけしていた別府さんの著書を初読み。テレビで伝えきれなかった(?)インタビューでの思いなどが綴られている。別府さんはアフリカも長いので、グローバルサウスとしてのアフリカとロシアの関係などに言及しているのが印象的。かつて南アのアパルトヘイトについて、国際的に(白人も含めて)非難するようになって廃止されたのに、現在の南アは「ウクライナとロシアの戦争は自分たちは関係ない」と言うのは…!でも旧ソ連が反アパルトヘイトを支援してたし、現在も経済的な支援も無視できないのだろうけど…。2023/09/23
くらーく
6
NHK報道記者らしく、あちこちで実際の取材に基づいて構成されています。ウクライナ外相、国連事務総長等から、ウクライナの民間人、息子を亡くした母親まで随分と幅広いですな。国も南アフリカ、ウガンダ等もあって、興味深いです。アフリカ諸国にとっては、敵(搾取した宗主国)の敵(ロシア)は、味方なのですかね。まあ、中立が精いっぱいなのでしょうな。中国がグローバルサウスっていうのも、冗談みたいだけどね。G2からグローバルサウスって、どんだけなんだかねえ。 どんな理由があるにせよ、力(戦力)で国境を変えてはいけません。2023/09/16
noe
2
ウクライナもパレスチナもどっちも全部ヨーロッパが悪いみたいにいう人がいて、え、そうなの!って。日本史選択だった自分は、それにしても世界史について全くの無知で、いや日本史選択という前口上の上でも知らなすぎたので、興味もあったし読んでみた。結論プーチンの動きはもう絶対的悪なわけだけれども、その悪を裁ききれないのは欧米だけでなく、人類(植民地を除いた)の過去の過ち故であるのいうのは確かにそうだと思った。憎む側と憎まれる側はきっと一つの戦争の行方で決まり、 2023/12/16




