内容説明
女性活動家・アナキストの伊藤野枝の傑作集。封建的な社会への怒り、夫・大杉栄との愛が伝わる評論など、野枝の魅力が詰まった1冊!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
横浜中華街2024
14
今から100年前に大杉栄と共に若干28歳で虐殺された女性活動家でアナキストの伊藤野枝の最新セレクション。彼女の代表的な論評や短編小説が一通り網羅されている。内容は封建社会における結婚の否定や労働者(失業者)としての在り方、男女不平等や女性の貧困など多岐に渡り、今読んでも十分に通用する内容が数多く含まれている。驚くべきは戦前の封建的社会の貧困家庭で生まれ育ったまだ20代の若い女性が、これだけ成熟した先進的な思想を持ち得たことである。彼女の尖った知性と生への情熱は今後も多くの人々の心を打ち続けると思われる。2023/12/13
Fumoh
3
非常に考えさせられる内容で、現代のジェンダー問題にぜひ参照されるべき本だと感じた。著者はアナキストと評されるが、そのような大層な肩書きは、どこか彼女に似つかわしくない。それほど、彼女の訴えは素朴であり、また理知的であり、バランス感覚に長けていて、現実的である。ただし、日本の旧弊に疑問点をぶつけたのは、当時としてはまずかったということだろう。今でこそジェンダー論は盛んに議論されるようになったが、当時としてはタブー扱いされたに違いない。当時の事情に特別明るいわけではないが、「家」制度の影響がまだ強かったと、2023/12/07