内容説明
姉を殺した七人への復讐に少女は命を捧げた。
四方を山に囲まれた田舎町、阿加田町。
この町の高校に通う中川栞は、いじめを受けて不登校になっていた。
ある日、栞の家に同居人として佐藤冥がやって来る。
誰にも心を開かない冥は、この町へ来た目的を栞だけに告げた。
「姉を死に追いやった七人の人間を皆殺しにしてやりたいの」
三年前、冥の姉・明里は、この町で凄惨ないじめに遭い自ら命を絶っていた。
その復讐のために、冥はここへ戻ってきたのだ。
冥は阿加田神社に伝わる血塗られた祭儀『オカカシツツミ』を行い、巨大な蛇の神『オカカシサマ』を自らの身に宿らせることで、七人の人間を殺していく計画を立てていた。
夏至の夜、冥は儀式を成功させる。
それから一日に一人ずつ、冥は神様の力を借りて、栞と共に姉の死に関わった人間を殺していく。
復讐と逃避行の日々の中、いつしか二人は互いに恋愛感情を持つようになる。
だが冥は栞に、一つの隠し事をしていた。それは『オカカシツツミ』を行った人間は、最後には自らの魂を神様に捧げなければならない、つまりは〈冥の死〉が避けられないことを。
「ジャンプ+」でも人気爆発中の、今一番キテる作家が送る、残酷青春ラブロマンス!!
※「ガ報」付き!
※この作品は底本と同じクオリティのカラーイラスト、モノクロの挿絵イラストが収録されています。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
オセロ
38
いじめで姉を死に追いやった人達に復讐する為に命を捧げる代わりに超常的な力で殺し、生贄とする神と契約した佐藤冥。そんな冥が殺そうとしている人にいじめられている中川栞は冥の復讐計画を協力ことに…。 狂気染みた執念に突き動かされる冥に感化されていく栞。この2人がどんどん闇落ちしていき、復讐対象者を何の躊躇いもなく葬っていく様子はおぞましくも清々しい。復讐計画の先に待っていたものは予想通りでしたが読了感は悪くなかったです。2023/08/20
よっち
36
四方を山に囲まれた閉塞感のある田舎町、阿加田町。この町の高校でいじめを受けて不登校になっていた中川栞の家に、同居人として父の友人の娘・佐藤冥がやって来るラブロマンス復讐譚。冥が栞だけに告げた、三年前に凄惨ないじめに遭い自ら命を絶った冥の姉・明里の復讐。阿加田神社に伝わる血塗られた祭儀『オカカシツツミ』を行い、七人を殺す計画を立てた冥に協力する栞。復讐と逃避行の日々の中で芽生えてゆく確かな想いがあって、逃れられない定めに二人がどう向き合うのか、やや意外と感じた結末は思っていたよりも穏やかで正直救われました。2023/08/18
わたー
29
★★★★★まず最初にこれだけは言わせてほしい。凄惨ないじめの果てに自ら命を絶った人物の最期を、その人物視点で描くんじゃあないよ。苦と楽の対比を描きたかったという著者の意図はわかるんだけど、それにしたって真に迫りすぎていて辛すぎるわ。四方を山に囲まれた田舎の村を舞台に、姉をいじめの果てに死に追いやった7人を今では廃れた儀式を使って殺害しようとするヒロインと、彼女に協力する主人公による復讐譚。著者の作品は同レーベルで出しているラブコメしか読んだことがなかったため、あまりのテイストの違いに驚いたとともに、2023/09/27
おかだ
23
なんだろうこのスッキリしない感じ。閉鎖的な田舎で繰り広げられる物語。冥は7人の人間を殺す、姉をズタボロにいじめて自殺に追い込んだ奴らへの復讐である。いじめと、追い込まれていく姉の様子が目に浮かぶくらい現実的なんだけど、オカルト頼りな妹の復讐場面はわりとあっさり進むファンタジー。この高低差が良くも悪くも印象的だった。主犯格とか、もっと時間かけてギッタギタにやって欲しかったという気持ちもある、でもバランス的にはこのくらいで良かったのかなぁ。ラストが私の苦手なメリバってやつ?だったのが読後感のモヤモヤの原因か。2025/01/22
羊山羊
18
一番のシーンはやはりヒロインの姉明里の自殺に至るページか。殺されるヤツが心底憎たらしく思えるように、ひたすら邪悪に練り上げて読者の想像に委ねるの最高すぎる。田舎の因習と、いじめと殺人とが織りなす高密度の田舎スリラー。ラノベの重さじゃない。「領界神犯」を救いのない方向に練り上げて長編を仕上げたという風の物語構築と、クローズドな田舎の雰囲気を再現した1冊!容赦ない復讐殺人のカタルシスに一気読みされられました。 ラストは、本当に呆然。一応、ハッピーエンドなんだろうか。胸に残った1冊でした。 2023/11/29