内容説明
『信長公記』に門外不出の「完本正篇」が!
統治者と宣教師が語り合った、驍将の<剣>と<政事>、そして『君主論』――。
令和四(二〇二二)年、イタリアのフィレンツェで“信長の遺書”なる古い紙束が見つかる。それは信長の近習の書記・太田牛一によって密かに編まれた『信長公記』の完本正篇だった――。
時を遡ること今から四四〇年以上前の天正七(一五七九)年、イタリア人宣教師のアレシャンドロ・ヴァリニャーノが島原半島に上陸する。彼はその後、信長に謁し、ルネサンス期にイタリア半島を駈け巡った驍将チェーザレ・ボルジアのことや、マキアヴェリによって書かれた『君主論』について侍講した。信長は以降、ヴァリニャーノに数度引見し、その問答を漏れなく記すよう牛一に命じたのだった。
天下を統べるはずだった男の果てなき好奇の思いを極大なスケールで描く、斬新吃驚の歴史長編!!
(底本 2023年8月発売作品)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
旅するランナー
189
イエズス会巡察師ヴァリニャーノによる織田信長との謁見、信長公記作者太田牛一との出会い。マキアベリ「君主論」「政略論」を紹介し、信長にチェザーレ·ボルジアの姿を見る。彼の教えにより、信長が日本を飛び越える視野を持ち、絶対権力を目指していくスリリングな仮説である。宣教師の教えが「ためらわずに殺しなさい。はかりごとを使っても勝利しなさい」というのには驚くしかない。このあたりへの危機意識もあって、伴天連禁止へとその後動いていったのではと想像できる。2024/02/18
starbro
186
タイトルに魅かれて読みました。山本 音也、初読です。 信長の所謂遺書があったという物語ではなかったので、イメージしていた内容と異なりましたが、信長がマキアヴェリの『君主論』を侍講していて、その影響を受けていたかもと言う件は、興味深く新鮮でした。 https://www.shogakukan.co.jp/books/093866662023/09/20
ポチ
53
信長公記の完本正編って何?とても楽しみな面白そうな内容と思い手に取るが…。文体が合わず読み進めるのがキツく流し読みになってしまった。2023/08/27
rosetta
35
★★★☆☆不器用なくらい生硬な小説で読み進めて楽しいとも思わなかったが、テーマと枠組みは面白く、昔から似ている二人だと思っていたノブナガ ミーツ チェーザレ・ボルジアと言うフィクションに興味をひかれた。太田牛一が遺した『信長公記』は秀吉の禁教令に触れぬよう、信長がヴァリニャーノ司祭からチェーザレの生涯、思想を学んだことを故意に削っている。だが秘められたその事実まで書き記した正編『信長公記』がイタリアに残っていた。マキャベリの良い復習にもなったし。でも作者には失礼だが、塩野七生の筆で読んでみたかったな2023/09/16
スプリント
12
ヴァリニャーノと太田牛一が狂言回しとなり 信長とイタリアの梟雄チェーザレ・ボルジアを対比させた歴史小説。九州のキリシタン大名大友宗麟が良い味を出しています。2023/09/06