内容説明
境界知能の子どもたちは、一見すると普通の子に見えます。
もしも、みなさんの知り合いに境界知能のお子さんがおられたとしても、なかなか気づかれないと思います。その子に道で出会っても、あいさつを交わして会話も成り立って、困っている子には見えないはずです。あるいは、わが子が境界知能の場合でも、客観的には普通の子に見えるのではないでしょうか。
「普通」の子に見えるのに、「普通」ができない――これは、境界知能の子だけではなく、軽度知的障害の子にも当てはまる場合があります。知的障害でも「軽度」というところがポイントで、一見すると普通の子に見えて、見過ごされてしまうケースがあるのです。本書では、「境界知能の子どもたち」と銘打っていますが、その内容は軽度知的障害の子にも当てはまる部分は大いにあります。
・授業についていけない
・友達とうまくつき合えない
・感情コントロールが苦手
……そんな困りごとがあれば、子ども本人のやる気や性格のせいだと片づけるのは早計かもしれません。
この本を手に取った方は、境界知能の子どもの親御さんや、クラスに「気になる子ども」のいる学校の先生、あるいは福祉や心理など特別支援教育の関係者の方が多いかと思います。
親や教師、周囲にいる大人は、その子のしんどさ、そしてしんどさの背景にある認知機能の問題に気づいてあげてほしいのです。
(「はじめに」より)
※カバー画像が異なる場合があります。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キムチ
57
知的に問題があるグループ〜 昭和期では差別的用語が種々あった。今世紀頃に入り発達障害の諸事情に社会的医学的掘り込みが進み法も出来た。令和になり「社会生活を送る上での生きづらさ」を観点に知的障害との同異が問われて来た。当該問題のTV放映で改めて認識した事は自治体や時代により判定ラインが異なる事。療育手帳の有無だけで把握し切れぬ谷間もある。凸凹の発達の障害とは異なり、発達がゆっくりの事例もある。30歳代の子育て期に聴いていた河合先生のラジオ番組で語られていた「ゆっくり傘が開く子」を思い出した。姑が繰り返し話し2024/11/15
よっち
37
日本人の7人に1人いる軽度知的障害。「普通」でも「知的障害」でもない、普通の子に見えるのに普通ができないはざまの子どもたちの現状を解説する一冊。一般的にIQ70未満は知能障害と定義されて支援の対象となっているものの、逆に「IQ70以上85未満」の境界知能の子どもたち、あるいは軽度知的障害の子どもたちも支援の対象から外れていて、問題が生じているのに過ごされてしまっているケースがあるという話で、読んでいると判断が難しそうだな…という印象でしたが、それでもその可能性を意識して早めにケアしていくことは必要ですね。2023/09/22
活字スキー
24
人間を統計的な効率や序列で仕分けることの残酷さ。「あまりアタマが良くない」という現実を正しく認識することは、当人にとっても周囲の人間にとっても簡単ではない。突き詰めれば、これもまた社会の多様性と持続性の根っこに繋がっていると思う。いつでも、どんな分野でも、不安定で一番ワリを食い易いのはグレーゾーンだ。2024/10/07
ta_chanko
24
境界知能の子どもたちだけでなく、日本の現行の教育制度では、多くの人々を取りこぼしてしまっているように思う。これから少子化が進むことも踏まえ、もっと一人一人に寄り添った教育・支援をしていくことで、より多くの人たちの能力を活かせる社会をつくっていく必要があるのではないか。2023/10/13
ミキ
21
2024-3:読んでいる時にふと思ったのですが、いわゆる頭が悪い子の大半は認知機能に問題があったり、境界知能だったりするのでしょうか?クラスに何人かはいましたよね、5教科どれも満足に出来ない子、、、。2024/02/28
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