内容説明
※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。
2000年に入る頃、数十年にわたる社会主義の失敗により、出版や流通、 書籍販売が疲弊しきっていたエジプト。書店を開くことなど不可能だと 思われた時代に、彼女は小さな書店「Diwan(ディーワーン)」を始めました。女性店主はあらゆる困難に直面しますが、それでもエジプトを代表する独立系書店チェーンへと成長を遂げます。
西欧と中東が出合うカイロで、それぞれの文化を共存させ、後世に伝えるということ、読書家や女性たちの心安らぐ場所であるということ。書店としての使命をまっとうすべく、彼女は闘います。分断されたこの世界を変え、希望をつなぐために。
これは、一冊分ず つ、世界を変えていこうとした、カイロの革新的な書店主の実話の物語です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
buchipanda3
104
カイロにある独立系書店の創設者によるエッセイ。海外の本屋さんの本として手に取ったが、書店経営の日々だけじゃなく、最近のエジプトの風潮、文化や政治も含めた社会のリアルな空気を肌で感じられる話も書籍と関連付けながら豊富に語られ面白く読めた。章の題名には実際に設けた本棚のテーマが記され、料理や妊娠など現実の社会と彼女自身のズレに苦悩した人生とリンクさせながら語られる。中でもエジプト・エッセンシャルズの章は母語と母国への回帰という意味でとても興味深かった。本の存在と人生の強い結び付きが改めて感じられ何だか嬉しい。2024/01/25
たま
63
読書メーターのご感想に教えられて読んだ。2000年頃カイロに書店ディーワーン(英語の本もアラビア語の本もある)を開いた女性の回想。ディーワーンは有名書店だったようで、表紙の写真からも雰囲気の良さが伺える。こういう書店がそれまでなかったと言うのがすごい!※1。ここを開店し運営するための苦労の数々-非常識な客、客と従業員の万引き、官憲その他の妨害。エジプト社会の複雑さ、人間関係の彼我の違いに唸らされた。裕福な家庭(父はイスラム教徒母はコプト教徒)に生まれ英語仏語の教育を受けた著者は今はロンドン在住のようだ。2024/02/09
Nobuko Hashimoto
19
エジプトの首都カイロで書店を立ち上げ、最盛期には10店舗にまで拡大した女性の回想録。著者ら女性3人で設立した書店ディーワーンは、それまでのエジプトの書店のイメージをまったく覆すものだった。本書は成功物語としての語りよりも、男性中心社会で女性が理想の場所をつくろうとするときに向き合わざるを得ない、さまざまな葛藤をたどる。関西ウーマン信子先生のおすすめの一冊で取り上げました。https://www.kansai-woman.net/Review.php?id=2025612025/01/27
Inzaghico (Etsuko Oshita)
8
2002年、著者は姉と友人と共に、カイロに独立系書店「ディーワーン」を誕生させた。子どもと一緒で、書店も大きくなるにつれて外部の影響を受けて自分の意志をもち、手に負えなくなる。一個の人格(?)をもった書店は愛おしいが、枷、軛でもあった。 著者の父親はイスラム教徒、母親はキリスト教徒(コプト教)、使用人を数人抱えて、姉と著者はインターナショナルスクールに通う。その後、著者はロンドンで暮らす。こういう環境で育った経営者が、下層階級の従業員とどう折り合いをつけるのか(つけないのか)というのも読みどころだ。2024/02/02
アヴォカド
8
全くノーチェックだったのだけれど、本屋さんの棚で気になって手に取った。そういう出会いを作ってくれるのが、リアル本屋さんのいいところだよね、やっぱり。エジプト・カイロで、女性が、モダンな本屋さんを作り経営する。もちろん知らないことがたくさんで面白いのだけれど、どこもそうなのねーと思うところもあり。うまくいったことも、失敗して苦悩したことも少なくないだろうけれど、そうだよ、次はもっとうまく失敗しよう、と思えたらいい。2024/01/10
-
- 電子書籍
- 八十五歳 さよならまでの暇つぶし
-
- 電子書籍
- 恋愛相続人~花嫁は二度恋をする~(イラ…