内容説明
バロック時代のバッハ、古典派のモーツァルト、ロマン派の幕を開けたベートーヴェン……音楽史を少しでも習ったことがある人には馴染みのある時代区分や作曲家の名前。肖像画とセットで思い浮かべる人や、「伝記を読んだことがある!」という人も多いはず。
けれど、 よく見ると“音楽史”には日本史や世界史ではありえない、おかしな点がたくさんあるのです。
どうしてこうなった? そして、音楽史はこれからどう書かれるのか?
本書では過去から現在までの「音楽史の書かれ方」を振り返り、新たな視点でアップデートし続ける音楽史の最前線をご案内します。
目次
■はじめに
■パートI:音楽史、この珍妙なるもの――「肖像画」と「伝記」と「年表」のお話
▼プレリュード
▼第1章 音楽家の肖像画
▼第2章 音楽家の伝記
▼第3章 音楽史年表
■パートII:音楽史、その歴史を探る――「音楽史の今昔」と「名曲神話」を追って
▼プレリュード
▼第4章 音楽史の今昔(前編)
▼第5章 音楽史の今昔(後編)
▼第6章 名曲神話(前編)
▼第7章 名曲神話(後編)
■パートIII:音楽史の明日を考える――視座の変化と共に更新される音楽史
▼プレリュード
▼第8章 音楽を解釈するということ
▼第9章 音楽史が教えてくれること(前編)
▼第10章 音楽史が教えてくれること(後編)
▼第11章 変わりゆく音楽史
▼第12章 音楽史の将来
あとがき
参考文献
索引
巻末付録 世界史・音楽史・日本史 年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
へくとぱすかる
54
音楽室の肖像画はバッハあたりから始まるが、わずか300年前に生きていた人だ。なぜぼくらは音楽の古代史を習わなかったのか? 目に見えず、演奏とともに消える音は、歴史に実に残りにくいもの。だからこそ作曲家偏重、苦労や偉大さ、ドラマを強調した伝記が好まれるようにもなっていく。既存の音楽史を外からながめ、常識を再点検して、目からウロコの音楽観が目の前にスカッと現れる。みごとに爽快だ。最初から快調に飛ばしていくおもしろさで、他のジャンルの歴史も見直したいもの。既存の知識もウンチクもなしで読めるのが最高に良い。2023/11/28
しゅん
20
英国で研究活動をしている著者が、クラシック音楽史の「変なところ」を紹介しつつ、「歴史」がどのように形成されるかを綴っていく。「歴史学」の、力強く洒脱な試み。何故、音楽の歴史は個人の評伝によって語られてきたのか。その理由と経緯を語る様が楽しい。カリスマだったベートーヴェンの評伝が父との不仲を神話化したが故に、影響を受けた音楽家たちが自伝でベートーヴェンをこぞってまねた挿話など、面白い話てんこもり。音楽という学問自体が、理系から文系に「文転」したという表現にも強い印象が残る。2023/10/16
TAK.I
13
小学校の音楽室に当たり前のようにある音楽家の肖像画。作曲家だけがスポットを浴びる。作曲家と呼応するように時代区分があり、数々の名曲が生まれた背景や、その時の時代の状況などが語られるのがいわゆるオーソドックスな音楽の歴史だ。この本はそこに一石を投じ、音楽史を抜本的に考え直す目的で書かれた。音楽が苦手な方も楽しめるという触れ込みだが、やや難しい。ただ「ボギー大佐」の件は笑えた。自分の世代だと「サル・ゴリラ・チンパンジー」のCM?でお馴染みの曲に纏わるエピソード。国による曲の立ち位置が全く異なり、興味深かった。2023/08/18
つまみ食い
10
「音楽の歴史」ではなく「音楽の歴史の歴史」の本。どのように音楽の歴史叙述が行われてきたか、古代ギリシア・ローマや中世から近現代に至るまで俯瞰したのち音楽を聴くあるいは語るとは何かといったことにも考察をくわえる。 ユーモラスな逸話も多く挿入されている。特にそれまで「音楽を職業にしていた訳ではないが理解してくれた親に感謝」みたいなプロフィールを掲げていながら、ベートーヴェンがブレイクした途端「父親は私を虐待しながらヴァイオリンの猛特訓をさせた」みたいなプロフィールに変更したパガニーニは笑ってしまった。2023/08/25
yuko
6
音楽の歴史がどのように語られてきたか、音楽史について考え直す本。たくさんの笑えるエピソードを交えて、わかりやすく書かれているので、小難しそうなテーマなのにスラスラ読むことができた。音楽史の区分から、なぜ名曲といえばあの曲なのかとか、ヒットチャートやジェンダーについてまで、クラシックに限らず音楽全般についての考察。読んだ私も、ものの見方を更新できたような気がします。2023/08/26
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