内容説明
板橋の商店街で、父の代から続く中華そば屋を営む康平は、一緒に店を切り盛りしてきた妻を急病で失って、長い間休業していた。ある日、分厚い本の間から、妻宛ての古いはがきを見つける。30年前の日付が記されたはがきには、海辺の地図らしい線画と数行の文章が添えられていた。差出人は大学生の小坂真砂雄。記憶をたどるうちに、当時30歳だった妻が「見知らぬ人からはがきが届いた」と言っていたことを思い出す。なぜ妻はこれを大事にとっていたのか、そしてなぜ康平の蔵書に挟んでおいたのか。妻の知られざる過去を探して、康平は旅に出る――。市井の人々の姿を通じて、人生の尊さを伝える傑作長編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
128
宮本さんのファンでその作品をかなり読んできてはいるのですが未読でした。NHKラジオの日曜名作座で西田敏行さんと竹下景子さんでの掛け合いを聴いて手に取りました。ミステリアスな部分(奥さんを亡くし、奥さんあての葉書が本に挟まれていたことなど)や主人公が中華そばやをやりながらも読者家(森鴎外の「渋江抽斎」を読みつぶしている)であるということが興味を引きました。主人公の3人の子どもたちや高校時代の友人たちの絡みなどがあったりして最後はすっきりという感じでほろりとさせてもくれました。2023/09/19
おしゃべりメガネ
122
500頁弱のボリュームでしたが、読みやすい文体の宮本さん作品でしたので、イッキ読みで読了でした。最愛の妻を亡くし、すっかり塞ぎこんでいる中華そば屋の店主「康平」は、ある日妻宛ての古い葉書を見つけます。妻曰く『知らない大学生から届いた葉書』を手に、62歳の「康平」は人生初の1人旅へ。旅の中で日本有数の灯台の名所を巡るのが、なんともステキです。旅を重ねるに当たり、彼の子供たちや古くからの友人たちなどとの関わりもほっこりします。年齢、タイミングはそれぞれですが、やっぱり人生やりたいコトはやっておきたいですね。2024/01/27
となりのトウシロウ
116
板橋の中華そば屋『まきの』二代目店主牧野康平62歳。2年前にくも膜下出血で妻蘭子を亡くす。それ以来、気力を無くし店は閉めたまま。ある時本に挟んであった30年以上前の蘭子宛に来た差出人は知らないというハガキが出てきた。康平はそこから灯台を巡る旅に出、自身の人生を振り返り、家族や友人達との関係を見つめ直し、徐々に自分を取り戻していくという物語。「威風堂々と生きたいな。」「こつこつとひとつひとつ、焦らず怯まず、難問を解決していく」そういう人になるために努力するという康平の言葉。幾つになっても人は成長できる。2024/08/12
レモングラス
108
本のページの間から落ちてきた葉書。2年前に亡くなった妻宛ての葉書。この本を買ったのは7年前。葉書は30年前に届いたもので、知らない人からだと妻は言い、返事を出した当時のことを思い出す。この差出人は一体誰なのか。そこにたどり着くまでの過程で見えてくるそれぞれの人生。妻と長年やってきた中華そば屋、夫婦、子どもたちとの関係性、近所の友人、友人たちに関わった人たちのこと。人は咄嗟のひとことや判断、決断力、力量を問われつつ生きているのかもしれない。人間力かな。魅力ある登場人物のその深さに驚きつつ読んだ。2023/11/23
じいじ
93
この物語は3年ぶり、この度は文庫での再読。佳い小説は何度でもいいですね。新たな面白さの発見があります。主人公は、二人の子育ても一段落した、中華そば屋を営む仲良し夫婦の物語です。二人の第二の人生が始まった矢先に、妻が不治の病で逝ってしまいます。死後に見つかった彼の蔵書に挟まれた妻宛の「謎のはがき」が…。やっと気持ちの落ち着いた彼は、はがきの謎解きの「灯台巡り」の旅に出ます。ーこの宮本小説『錦繍』のつぎに好きになりました。三度目は、?年後に読みたくなるんだろう?2023/09/14
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