内容説明
小林波間、32歳、先日偶然再会した大学の同級生中川くんと、どうやら別の東京を生きている。向こうの世界では世界規模の感染症が広がり――NEW桜庭ワールドに魅了される傑作長編!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
216
桜庭 一樹は、新作をコンスタントに読んでいる作家です。 本書は、厭な物(新型コロナウィルス、ウクライナ侵攻、癌、通り魔等)全てをパラレルワールドに押し込んじゃえ小説でした。 https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309031095/2023/06/12
パトラッシュ
174
桜庭さんがパラレルワールド設定の小説とは意外だが、コロナのない世界からある世界を眺めると、現在から過去3年間を見ているような気分になる。毎日、何人が感染し世界中でいくら死んだなどという話を聞かされ続け、仕事や学業もリモートになるなど日常を奪われた日々は遠い悪夢か。しかも双方の世界は一本のLINEでのみつながり、言語コミュニケーションの不毛性を象徴するかのようだ。同じ人間が別の仕事をしているかと思えば元首相暗殺事件はコロナなき世界だけで起こる。サルトルやベケットの不条理演劇を、コロナを通じて観ているようだ。2023/09/10
のぶ
105
桜庭さんらしい面白いが、わからない部分も多いパラレル小説だった。ある日主人公、三十二歳の小林波間は、通り魔事件が発生して混乱する路上で芸大時代の友人、中川くんと再会する。その場で LINE のIDを交換して後日待ち合わせをするが、なぜか会えない。どうやら波間と中川くんは別々の東京を生きており、あの日会えたのは偶然だったようだ。二人を繫げるのは LINE だけだった。加えて波間は胸に悪性腫瘍が見つかり、手術前に腫瘍を小さくするための治療を受けている最中だった。最近の世相を取り入れた不思議な世界の物語だった。2023/06/13
たいぱぱ
75
登場人物の名前が波間や甍なのは桜庭さんらしいが、後は全く桜庭的退廃感がなくライトな印象。なのに、なのに、心の叫びが聞こえてきて、凄ぇ!と思った。レッチリがアルバム『I’m With You』を出した時の様に全然レッチリじゃないのに、これはこれで傑作だ!と思った感じと似てる。自分の意見は、社会に合わせてる?と自問自答することもあるし、自分の正義を振り回し人を弾劾する人々に憤慨する気持ちもわかる。『少女を埋める』の一連の騒動が、この桜庭一樹の叫びのような作品を産んだのかもしれないと思うと複雑な気分だ。2023/08/09
coolgang1957
57
盛りだくさんのテーマで、読み終えてちょっと放心状態。全体では俯瞰というか対岸なのか当事者ではない自分の立ち位置の難しさみたいなものを示してるなかなぁ。SDGSもダイバーシティも差別も戦争も、そんなたくさんの事柄をパラレルワールドって言う環境を作り出して掘り下げていく。療養と生活の日常を淡々と記しながら問題提起してる凄い小説やと思います、が全っ然感じたこと言えてません、こんな語彙の無さでは直木賞は望み薄です。(いやいや作文すら書いたことないやん\(^-^ ))2023/11/19
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