内容説明
2003年、パリ。ある朝、著者の自宅にポストカードが届いた。差出人名はなく、1942年にアウシュヴィッツで亡くなった著者の曾祖父母とその子どもの名前のみが書かれていた。誰が、何のために出したのか。差出人の謎と戦争の記憶を著者が辿る、実話に基づく物語。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
ちょろこ
120
凝縮された想いの一冊。突然届いたアウシュビッツで亡くなった家族の名前が記された差出人不明のポストカード。誰が?なぜ今頃?ミステリアスさを軸に知られざる家族の歴史を紐解く作品。史実が浮き彫りになる過程は夢でうなされるほど苦しかった。想像を絶する負の遺産。人を人とも思わない迫害行為に一体どれだけの意味があるのか、今の世の中を重ねながら問いが渦巻く。家族の中で一人だけ生き残った祖母の苦しみ、著者の"ユダヤ人"を通して自分を見つめる姿も印象的。最後の一文にこれまでのぎゅっと凝縮された想いを感じ、ただ祈りたくなる。2023/11/17
ちゃちゃ
118
名前は、個人の生の痕跡を後世に刻む。ある日届いた一葉の葉書。そこに記された4人の名前は1942年アウシュビッツで絶命したはずの祖母の家族のものだった…。本作はナチス占領下のフランスを舞台に暗黒の時代を描く“ノンフィクション小説”。出自から消えることのない「ユダヤ人」の刻印。彼らがくぐり抜けてきた苛酷な運命を鋭く炙り出した一族の物語だ。生還した人々は差別に怯え排斥に耐え“生き残った者”として迫害の歴史を背負った。今改めて心に刻みたい。人間の尊厳を剥奪し個人の生き方を狂わせる政治社会の恐ろしさや愚かしさを。2023/11/20
夜長月🌙新潮部
66
1919年から2019年のヨーロッパ(特にフランス)におけるユダヤ人家族の激動の人生を著者(アンヌ)の母親(ミリアム)を主人公に物語ります。アウシュビッツ(およびナチス)のことは誰もが知る歴史的大事件ですがそれだけではない、と言うかそのために多くの事が見えにくくなっているのかも知れません。ユダヤ人の悲劇はアウシュビッツに始まりアウシュビッツに終わったのではありません。現代でもユダヤ人は軽く、それゆえに自然に「ユダ公」などと蔑視されます。そして今の戦争。本書はノンフィクション部門で文学賞を獲得しています。2023/11/24
ジュン
62
アウシュビッツで亡くなってるはずの家族の名前だけが書かれているポストカードが届いた事から、家族の歴史を紐解きユダヤ人とは何か、何故人間が人間を迫害するのかを問い続けた史実に基づいた作品。ホロコーストを扱う作品は、生々しい描写が出てくるので、一旦読むのを休んでいたけれど、また読み始め読了した。フランスがヒトラーに積極的に加担してユダヤ人を逮捕し、劣悪な環境で拘束し、ドイツへ輸送していた史実は’サラの鍵’で知っていたが、フランス人もまた、ドイツに送られて酷い目に遭って帰国した人達がいた事を本作で初めて知った。2024/03/07
ヘラジカ
62
絶滅収容所で命を落とした血族を巡るファミリー・ヒストリー。素晴らしくドラマチックな展開だが大袈裟に書きてることなく淡々と記している。しかし、だからこそ読みながらあんなにも胸が締めつけられたのかもしれない。歴史のなかで圧殺された人々は、それぞれが大きな物語を有していて、その物語は何年経とうと決して終わることがなく、なんらかの形で脈々と受け継がれ、現代を生きる者たちを形成しているのだ。ポストカードの真相、終盤での作者の言葉には涙が抑えられなかった。慟哭のノンフィクション小説。素晴らしかった。必読の傑作である。2023/08/09
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